青森限定!? 供えるだけでは終わらないちょっと変わった墓参り【今さら聞けない終活豆知識vol.21】

       
今さら聞けない終活豆知識 終活
2025.11.12

地方で異なるお盆の風習。なかには、想像もつかないような風習が当たり前に受け継がれている地域もあります。とりわけ独特な墓参りがおこなわれているのが青森。一体どのような墓参りなのか、詳しく見ていきましょう。

写真出典:PIXTA

青森で受け継がれる独特すぎる墓参り

青森の津軽地方には、お盆の時期に「法界折」と呼ばれる風習があります。法界折は、ご先祖様にお供えする精進料理の折り詰めを指す言葉。法界折は自宅で手作りされることも多く、赤飯や煮物など家庭によって内容もそれぞれ異なります。ただし、あくまでも精進料理のため肉や魚は入っていません。

一般的な墓参りの流れと同じく、法界折をお墓に持っていきお供えしてお参り。ここからが変わっており、お参りが終わると、お墓の前で法界折を家族や親族で食べてしまいます。法界折を食べるのは供養する形のひとつ。ご先祖様を大切にする津軽地方の文化から、お墓参りで一緒に食事をする風習が根付いたようです。

ちなみに最近ではスーパーで法界折が売られていることも。お盆の時期になると、広告などにも法界折が登場します。以前は家族や個人でお墓を建てることが多く、複数のお墓にお供えをする必要がありました。そのため大半の家庭が手作りで法界折を用意し、お墓にお供えしていたのです。しかし、近年ではお墓に対する価値観の変化や墓離れの影響で、お参りするお墓の数が減少傾向に。法界折を1つだけ作るのはかえって大変なため、スーパーで購入する人も増えてきています。

また、青森の「下北地域」と呼ばれる地方では、お墓で花火をする伝統文化も。お盆には日没近くの時間帯にお墓参りをおこない、お墓の上に花火を置いて楽しみます。この風習は昭和初期に迎え火や送り火の代わりとして、花火を用いたことがきっかけとなり広がったとのこと。

一見すると独特に感じる青森のお墓参り。背景にはご先祖様を大切にする気持ちが込められており、心温まる風習として今も受け継がれています。