社会の課題を解決しながらビジネスモデルを構築。「任意後見制度」の活用と現状。

日本が抱える社会問題と向き合う日本ライフパートナーズ協会では、任意後見制度と法人とを活用し、法的に高齢者をサポートする活動を行っている。成年後見制度のなかの任意後見人制度は認知度が低く、利用者が少ないのが現状だという。医療法人でのキャリアを活かし、医療・介護・福祉専門の行政書士として開業した同協会代表理事・東向勲氏に話を聞いた。

医療業界を経て行政書士として独立/「任意後見人制度」の活用で解決したいこととは?

「任意後見」の制度活動を徹底サポート。医療業界での経験が協会設立のきっかけに。

小林:法定後見制度と任意後見制度の違いについて教えてください。

東向:成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度から成り立っており、法定後見制度は判断能力が低下している場合や無くなっている場合に申し立てをして後見人を見つける制度です。任意後見制度は、元気なうちにご自身で後見人を見つけて契約をする制度です。独り身の方やお子さんがいないご夫婦に、一般社団法人として後見人をさせていただく契約を交わします。

小林:日本ライフパートナーズ協会の設立の経緯を教えてください。

東向:もともと医療業界で事務職として働いていたため、以前から“おひとりさま”の高齢者の方々の課題を身近に感じていました。そこから行政書士として独立し、10年ほど前に事務所を設立しました。

「おひとりさま」の増加とは裏腹に未成熟な業界……だからこそ必要なサポート

市場も行政もまだ整備されていない。社会問題解決のために協会が取り組むこと。

小林:任意後見制度の市場はすでに安定しているのでしょうか? また、一般に認知されているのでしょうか?

東向:数年前には、公益社団で経営していた団体が倒産したといったような事例もありました。その際のインパクトが非常に大きく、マイナスイメージも確かにあると思います。料金形態もサービス内容も団体によって異なるため、お客様ご自身できちんとしたところとそうでないところを見分けるのはまだ難しいのが現状です。行政についても、団体を管理する監督官庁が決まっていないため、業界的には未成熟だと感じています。

小林:おひとりさまが増えているため、大きな社会課題となっていますよね。

東向:近年メディアでも高齢のおひとりさま問題が取り上げられる機会が増え、問い合わせも年々増加しています。一般生活者の必要性は非常に高いため、さまざまな課題があると思いますね。

任意後見制度の認知向上・活用を広めるべく、今後の協会が取り組むこと

活動を全国に拡げつつも「地域の力」を大切に。「本人が本人らしく」あるためのサポート。

小林:日本ライフパートナーズ協会は、全国展開を視野に入れておられるのでしょうか?

東向:いまは関西と関東を中心としていますが、いずれは主要政令指定都市には支部を出したいと考えています。地元の方の困りごとは地元で解決できることが理想的であるため、地元の事業者様と提携していけたらと思います。
 例えば具体的には、地域に薬局を展開されている事業者様や、訪問介護にたずさわる事業者様、行政書士などの士業に携わる方など、高齢者の方に寄り添える機会のある事業者様と提携できたらと思います。本人が本人らしく最期まで生きられるように、まわりがサポートできるようにしていきたいと考えています。可能な限り、本人が望むかたちを実現できる社会にしていけたらと思っています。業界の方々と共に、この想いを実現していきたいです。

インタビューの全文は月刊終活 9月号に掲載されています

掲載記事

終活
2023.09.28