出展社が語る「エンディング産業展」の潜在力 「最小投資で最大リターンを得られる場」

 2024年8月28日と29日の2日間にわたって開催される「第10回 エンディング産業展」。毎回多くの事業者が参加するこの展示会は、そうした出展社にとってどのような意味を持つものなのだろうか? ある出展社の若き経営者に話を聞いた。

 8月28日と29日の2日間にわたって東京ビッグサイトで開催される「第10回 エンディング産業展(ENDEX)」。葬儀、埋葬、供養、相続など、終活産業にかかわる企業が一堂に会する、日本最大の専門展だ。

 昨年に引き続き主催するのは、東京都内6カ所の火葬場・斎場を直営する、東京博善株式会社。広済堂ホールディングスグループに属する同社が主催社となって2回目となる同イベントは同時に、記念すべき第10回目の開催を迎えることとなる。

 エンディング産業展では、遺骨・遺灰から「遺骨ダイヤモンド」を製作するLONITÉや、直径2メートルの巨大バルーンに遺灰を入れて宇宙に散骨する「バルーン宇宙葬」の株式会社バルーン工房など、ちまたで話題の企業が数多く出展するほか、業界の最前線をひた走る多くの識者らによるセミナー(トークイベント)も開催される予定だ。

 さらに、異なる仏教宗派が集まって行われる「9宗派合同供養祭」や、著名タレントの“生前葬”まで行われるというのだから、バラエティに富んだ2日間になることは間違いない。

 とはいえエンディング産業展は、“BtoB”のイベントである。もちろん一般来場者も訪れるが、基本的にはエンディング業界の専門事業業者たちが、自社サービスを同業他社に紹介する場だ。そうなると、出展する企業にとって最大のメリットは、やはり「同業他社へのアピール」ということになるのだろうか。この点について、「我々出展社にとってエンディング産業展は、まず第一に“情報発信の場である”といえると思います」と語るのは、今回が3度目の参加で、オンライン訃報案内サービス「itowa」を展開する株式会社itowaの坂元充社長だ。

「我々のように地方に足場を置き、強力な情報発信力を持たない企業にとってみればエンディング産業展は、普段は取り引きのない企業の方々と“容易にお話ができる”ということがまず、大きいのですよね。ブースに商品展示をして出展しているどの企業さんも、企業トップや広報担当者の方を置いて、こちらを待ち構えていてくれます。これは、“飛び込み営業”ではそう簡単にできることではありません。弊社でいえば、展開する『itowa』『はなテック』というサービス、そして我々の持っている企業理念を、この業界の方々に知っていただく場があらかじめ設定されているわけですから、これは大きい。
 さらにエンディング産業展では、普段であればこちらから営業に出向くことを思いつきもしないような企業さんとの“偶然の出会い”があることも特筆すべき点です。弊社は実際、昨年開催の第9回エンディング産業展において、結果として弊社サービスをアクティブに使ってくださることとなった企業さん2社と出会うことができました。主催の東京博善社さんも、今回は2回目の仕切りなわけですから、昨年よりもさらに集客に注力しているはず。だからこそ弊社のブースは、昨年の2区画から今年は、6区画に規模拡大いたしました!」

昨年は、8月末の3日間にわたって開催された「エンディング産業展」。

エンディング産業展は“自社の理念”を語る場

 こう語る株式会社itowaの坂元社長は今回、エンディング産業展では恒例の「セミナー」にも登壇する予定。セミナーの場では、すでにつきあいのある企業の関係者ら観客としても参加してくてれることが多いため、そうした顧客相手に、自社サービスをより深く理解してもらう場としても活用可能なのだと坂本社長は語る。

「セミナーでは、普段の商談ではできないようなテーマについてもお話することができます。我々のサービスitowaには、日々新しい機能を実装しているわけですが、セミナーの場では、『なぜそうした機能を開始したのか?』といった根本的なところから、あらためてゆっくりと語ることができます。弊社の最大顧客である葬儀社さまは、『人の死』にかかわる仕事のため、この業界でも特にスケジュールが読めず、アポを取ってもリスケが当たり前。直前キャンセルということも多々あるため、商談では余計なことを話している時間はなかなかないのです。そのためエンディング産業展のセミナーのように、腰を据えてお話を聞いていただける場があるというのは、それだけで非常に貴重な機会であるといえるのです」(坂元社長)

 要するに、このような大きなメリットがあるエンディング産業展は、出展社にとっては「最小投資で最大リターンを得られる場」ということなのだろう。

「出展料を広告費と考えた場合、エンディング産業展は、その広告費に対する大きなリターンを期待できる場所なわけです。今回でいえば弊社は、年間広告費のかなりの部分を投入した計算になります。最大顧客である葬儀社をはじめ、終活関連企業との繋がりを得るのに最適な場ですし、と同時に我々をステークホルダーのみなさまに知っていただく絶好の機会にもなるわけですからね。弊社は今年、本気で『顧客獲得』を狙っています!」(坂元社長)

 このように語る株式会社itowaの坂元社長をはじめ多くの企業が、今回のエンディング産業展に大きな期待を寄せているだろう。8月末の開催まで、本誌でも引き続き注目していきたい。

エンディング産業展では、多くのセミナーも見どころのひとつだ。

株式会社itowa代表が語る「我が社のサービス」

「現代人も葬儀に参加し弔意を表明したいはず」

「エンディング産業展」の魅力についてコメントを寄せてくれた株式会社itowa・坂元充社長に、同社サービスのベースにある理念について話を聞いた。

まだ39歳という若さの坂元充社長。

 私がこの業界に飛び込んだのは2005年、東海地方の互助会である「レクストあいち」への入社がきっかけです。主に葬儀場の設営や祭壇装飾部門を担当していましたが、もともと私はデジタルなものが好きだったこともあり、本業のDX化にも強い興味を持っていました。

 また当時は、「超高齢化社会・超多死社会を迎え、葬儀業界のビジネス規模は膨らむ」などと喧伝されててもおりましたが、一方で2010年頃から「家族葬」という小規模葬の一般化も始まりました。その結果、葬儀への参列者もどんどん減っていき、祭壇の装飾や供花の数も少なくなる……。そんな光景を目の当たりにしてきました。

 そこで、「弔い」に変革をもたしたいと、2020年に独立し、Swellという会社を立ち上げます。そして、オンラインで弔電や香典をオーダーすることができるプラットフォーム「bloom-post(ブルーム・ポスト)」をローンチ。さらに、2023年に「itowa(いとわ)」にサービス名を変更。今年の4月には、会社名もitowaに変更したのです。

「itowa」では、葬儀のご遺族に事前にサービス登録をしておいていただくようなサービスではありません。「itowa」にご登録いただくのはあくまでも全国の葬儀社さんであり、実際の葬儀となった場合に葬儀社さまからご遺族に提供されるオンラインサービスなのです。ご遺族は「itowa」を通し、メールやLINEなどで簡単に訃報のご連絡が可能となります。訃報連絡を受けた関係者の方々は、同じく「itowa」を通じ弔意やお香典を送ることができ、さらにご遺族は「itowa」を通して、返礼品をオーダーすることまでが可能となる。そういったサービスです。

 「itowa」のベースにあるのは、「本当は現代人も、“きちんと弔意を表明したい”と考えているのではないか」という思いです。小規模葬・直葬が増え、「訃報を知った際にはもう葬儀が終わってしまっていた」ということも現代では珍しくありません。でも、本当はみなさん、葬儀に参加し、亡くなった方をきちんと弔い、ご遺族に弔意をお伝えしたいと考えているのではないでしょうか。

 私は葬儀を、「故人に感謝を伝えることができる場である」と考えており、「itowa」の役割は、「そうした弔意行動の最大化」だと考えています。たとえお通夜や葬儀に参列できなくても、itowaや弊社の別サービス「はなテック」をご利用いただくことで、弔電、供花、香典など、さまざまな形で弔意行動が可能となります。

 今年で3回目の参加となる「第10回エンディング産業展」では、私のそうした理念を含め、「itowa」のことをより多くの方に知っていただきたいですね。

月刊終活 6月号に掲載されています

掲載記事

終活
2024.06.06