2024年10月28日の“プレスリリースの日”に、「プレスリリースアワード2024」が東京都内で開催された。このイベントでは、同アワードの授賞式のほか、プレスリリース活用のスペシャリストである「プレスリリースエバンジェリスト」の発表会もあわせて開催。エンディング業界からは、静岡の仏壇メーカー・有限会社稲垣塗装所が「グレートステップ賞」に輝いた。
株式会社PR TIMESが主催する「プレスリリースアワード」は、今回で第4回目の開催。開催日の10月28日は、同社が制定し日本記念日協会が認定する「プレスリリースの日」とされ、1906年10月28日に世界初のプレスリリースがアメリカで発表されたことにちなむのだという。そこで、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を運営する同社は毎年この日、その1年間に発信された優秀なプレスリリースを発表、同アワードにて表彰しているというわけだ。
「プレスリリースはいまや、単なる“メディア向けの公式文書”という枠を超え、生活者に直接届く情報発信の形として、年々、内容がリッチなものとなってきた」(株式会社PR TIMESのPR・IRチーム 今井友理恵氏)といい、過去最多の2481件のプレスリリースがエントリーされた今回、それらのプレスリリースを、株式会社PR TIMES取締役の三島映拓氏、株式会社はね代表取締役の矢嶋聡氏、國學院大学観光まちづくり学部准教授のハ・ヒョンチン氏、朝日新聞社発行「GLOBE+」編集長の関根和弘氏、グローバル・ブレイン株式会社の桜川和樹氏、小学館発行「DIME」編集長の石﨑寛明氏、PRDESIGN JAPAN株式会社の佐久間智之氏、日経BP社発行「日経クロストレンド」編集長の勝俣哲生氏、テレビ東京「テレ東BIZ」編集長の小林史憲氏の9名が審査した。
その結果、インフルエンス賞、ソーシャル賞、パブリック賞、エンパシー賞、ヒューマン賞、ストーリー賞、イノベーティブ賞、ローカル賞、グレートステップ賞、特別賞の10の部門賞を11件のプレスリリースが受賞。授賞式では、受賞作の発信元である11の企業・団体の代表者が登壇、それぞれ表彰されるとともに、審査員が講評、受賞者がそれに対し順次コメントしていくという流れで進行した。
プレスリリースによって仏壇への深い想いを伝えたい
「プレスリリースアワード」の選定においては、候補企業・団体の所在地域や企業規模、さらには業種・業界も問われないというのがルール。あくまでもプレスリリースとして社会に働きかける力を審査した結果だという。
「普段、企業の広報担当者に光が当てられることは少ない。だからこそ、こうした機会に注目されたら嬉しい」(前出・今井氏)
そうした理念のもと、エンディング業界からも、仏壇のリユース・再生を手がける有限会社稲垣塗装所(静岡県静岡市)が「グレートステップ賞」を受賞。授賞対象となった同社のプレスリリースは以下のタイトルであった。
「思い出の詰まった仏壇を手のひらサイズに リノベーション仏壇供養サービス『結壇(Yuidan)』を2024年2月に開始」
審査員の「DIME」編集長・石﨑寛明氏は同社のこのプレスリリースに対し、「仏壇のことはセンシティブな話題だけに、まわりに相談しにくく、あまり顕在化していないが、時代や住まいの変化の中で、仏壇の扱いについて困っている人は多いかと思う。稲垣塗装所の今回のリリースでは、仏壇メーカーがみずから、仏壇をあえて手放すという、自社のビジネスを揺るがしかねない提案を行っている一方で、きちんとしたデータの裏付けをもとに、時代・住まいの変化など消費者ニーズに寄りそった新しい仏壇のありようを提案しており、リリースとしてのそうした完成度の高さに驚かされた。仏壇にまつわる文化や習慣をアップデートしていこうという意気込みも感じた」と講評した。
これに対し、このプレスリリースの文面制作を行った同社の稲垣亘佑氏は、「私たちは小さな仏壇製造の会社で、これまでプレスリリースを発信した経験がなく、試行錯誤しながら、現場の職人のみなさんとも相談をしながらこのリリースを書いた。仏壇製作におけるこちら側の想い、仏壇の伝統を後世に残していきたいという想いを込めたもの。また、このプレスリリースで扱ったサービス『結壇(Yuidan)』は、この業界では初めてではないかと思われるほどの小さなサイズに仏壇を再生しようというもので、業界では異端だといわれるかもしれないが、仏壇製作における伝統や技術を後世に残すため、そして仏壇に手を合わせるというライフスタイルを残すためという想いで商品化した」とコメントした。