終活と手相「一番大切なのは伝え方」

お笑い芸人であり、人気手相占い師としても知られている島田秀平さん。今回は「お盆特別企画インタビュー」で島田さんが活動していく中で大切にされていることや、ご自身の「終活」にまつわる話などについて、弊社の代表取締役社長COOの小林史生が、話を伺いました。

「怪談」と出会った小学生時代

小林:現在、島田さんの怪談YouTubeチャンネルでは60万人チャンネル登録者がいて、大人気だと聞いています。

島田:『お怪談巡り』と『お開運巡り』というまったく真逆のチャンネルをやらせていただいてます。怪談との出会いは小学生の時です。小学校の担任の先生がおもしろくて、週に一回の学級活動の時間に、カーテンを閉めきって教室を真っ暗にして、怪談を話してくれるんです。その時に、怪談は語りかけだけでみんなの感情を大きく揺さぶるエンターテインメントだと感じ、聞いた怪談話をノートに書きためていました。

「本家の長男」として感じていた終活への使命

小林:島田さんは「終活」と聞いて、どのようなことをイメージされますか?

島田:僕は長野県出身で、島田家の長男ということもあり、物心ついた時から親戚に「お前は将来このお墓を守っていくんだ」と言われて育ちました。子どもながらに、みんなからそう言われていたので、自然と先祖代々のお墓や土地、一族を自分が引き継いでいくという意識がありました。でも実際に終活を強く意識するようになったのは、やはり子供が生まれてからです。

終活の原体験「亡き父からのメッセージ」

島田:高校生の時に父が癌で亡くなったんですが、大人になってから何度も父に相談したい、話を聞いてもらいたいと思うことがありました。今から十数年前、仕事をやめようかと悩んでいた時に、実家の蔵から古い父のノートが出てきました。それは生前父が僕に向けて書き残したノートで、そこにはその時に僕が欲しかった言葉が書いてありました。

父が入院前に書き残していた言葉

島田:父が入院する前の晩に、僕は父にお座敷に呼ばれたんです。父は僕に、自分をおぶるように言い、父を背負ってお座敷を走り回りました。父のノートの最後のページには「昨日お座敷でおぶわれて、お座敷を3周」と書いてあり、「さらなる向上心を求む 最愛の息子秀平へ」という一文で終わっています。それが最後のページでした。僕はこんなにも父に愛されていたんだなと実感できるその言葉が、僕に力を与えてくれました。

心温まる怪談話「おばあちゃんの財布」

小林:島田さんが得意な怪談も亡くなった方の話も多いですよね。

島田:これは茨城県出身の後輩芸人から聞いた話です。おばあちゃんは彼をとてもかわいがっていて、会うと毎回1万円のお小遣いをくれたそうです。ある日、仕事中におばあちゃんが危篤だという連絡を受けて、夜中にタクシーで実家にかけつけたけど、結局間に合いませんでした。悲しくて泣いていたら、お母さんがおばあちゃんから頼まれたというおばあちゃんの長財布を渡してくれました。お財布の中には1万6210円が入っていました。なぜこの金額かと不思議に思っていたら、タクシーの代金がぴったり6,210円だったそうです。

終活にも通じる手相講座①「金運線」

小林:島田さんに「手相」を見てもらう人はどのような事を知りたくて来られるのですか?

島田:金運をおしえてくださいと言われることがほとんどです。現在の金運がわかる金運線というのがあります。これは見方が簡単なのでぜひ覚えてください。日々手相が変化する左手が「現在の自分」を表すと言われているので、左手を見てください。薬指の下に縦に走る線が金運線で、長ければ長いほど、くっきりあればあるほど金運がいいと言われています。

終活にも通じる手相講座②「財運線」

島田:お金を生みだす金運に対して、財産を貯めて増やすのが財運と呼ばれています。小指の下から伸びている線が財運線で、お金だけでなく人との繋がりなども財運に含まれています。この財運線は、寿命が短い時代には健康線とも呼ばれていました。お金だけでなく、人や健康というのも昔から人々にとって大切な財産と考えられていたんですね。

終活にも通じる手相講座③「神秘十字線」

島田:手の真ん中に十字ができる線は「神秘十字線」といわれています。これがあるとすごく運が良い、神秘的な力に守られている人という意味だそうです。ご先祖様に守られているという意味もあるので、お墓参りなどもすごく大事なことなんだと思います。

終活にも通じる手相講座④「生命線」

小林:健康運に関する手相はどこを見ればいいのでしょうか。

島田:健康についてはお医者さんに診てもらうのが一番ですが、手相でいうなら健康は生命線を見ます。なぜか生命線が長いと長生き、生命線が短いと短命と誤解されている方が多いようです。しかし生命線は長さよりむしろ「カーブの強さ」が重要なんです。人さし指と中指の間に真っ直ぐ線を下ろして、その線よりも、カーブがぐっと張り出していると体が丈夫というのが正しい見方です。元気な高齢者の方で生命線が2本伸びているというパワフルな方もいます。黒柳徹子さんには生命線が3本ありましたし、元レスリング選手の吉田沙保里さんは4本ありました。

相手に寄り添うためには「伝え方」を大切に

小林:最後に終活にかかわる事業者のみなさんにメッセージをお願いします

島田:僕が占いというお仕事で一番気を付けているのは「伝え方」です。たかが占いなんですが、例えば「来年まですごく運勢がいいですよ」というと「来年以降はダメなんだ」と思って落ち込んでしまう方もいます。占いは良くも悪くも影響力が大きいものです。とにかく伝え方で「相手がどんなふうに感じるのか」想像を働かせて、せっかくその方の手相を見させてもらったんだから、元気になって明るい気持ちになってもらえるような伝え方をしたいと心がけています。

小林:おっしゃる通り、事業者様もどなたかが亡くなられたタイミングでお客様に会うので、伝え方によってお客様のとらえ方も変わりますよね。

島田:僕自身、父が亡くなってお葬式を経験したことで感じたのは、お葬式は亡くなった人にとっては最期の儀式ですが、遺された人にとっては新たなスタートの場だということです。葬儀というセレモニーを通じて遺された家族や友人がその死をうけとめて、その方の分も頑張って生きていこうと思うためのものだと。
僕も手相を見るときは微力でもその人の背中を押せるような伝え方を心がけていますし、事業者様も同じように伝え方に気をつけていらっしゃるのではないでしょうか。そういうところを見習いたいと思っています。

インタビューは月刊仏事 8月号に掲載されています

掲載記事

特集 終活
2022.08.16