相続人を悩ませる、相続で発生した不動産の名義変更手続き。その煩雑な手間のかかる作業をオンラインで完結するサービス「そうぞくドットコム不動産」を提供しているのが、今注目を集めるスタートアップ企業のAGE technologiesだ。今回は「相続手続きの効率化」を提げてエンディング産業に新たな風を吹き込む、AGE technologiesの若き経営者 塩原 優太社長に話を伺った。
「相続手続き」にDXを テクノロジーで高齢社会の課題を解決
小林:AGE technologiesさんが現在取り組んでいるビジネスの概要をお聞かせいただけますでしょうか?
塩原:弊社は今年で5期目を迎えるいわゆるスタートアップになります。創業以来、相続手続きを効率化することをスローガンに掲げ、現在は「そうぞくドットコム」というサービスを提供しています。相続手続きには2つの大きな作業があると考えています。ひとつは相続が発生した際に相続人が誰なのかを証明するための戸籍謄本や住民票などの書類を集めること。もうひとつは、登記申請書などの専門性の高い書類の作成です。
弊社のサービスをご利用いただくと書類を弊社側で集めてお客様のお手元にお届けします。また、遺産相続に関する書類作成も、弊社が提供しているツールを使っていただければ簡単に作成いただくことが可能です。この2つが、おもに弊社が提供しているサービスになります。
DXのカギは「技術とアナログの融合」によるユーザーファーストの発想
小林:最近では「そうぞくドットコム不動産」の利用が1万2000件を超えているとお聞きしました。利用者に支持されているポイントをお聞かせください。
塩原:最初にサービスを立ちあげたときは「相続手続きを効率化する」という大義へのこだわりがかなり強かったのですが、今思うとユーザーさんのことを無視した、自分達目線の設計だったと思います。サービス設計が斬新すぎる部分もあって、あまり使われませんでした。そこを改善して、あえてアナログを折り混ぜるサービス設計に変えていったところ、大きく利用者を増やすことができました。そこからは順調にユーザー数を伸ばしています。
2024年4月「相続登記義務化」を見据えたチャレンジ
小林:2024年4月から不動産登記が義務化されますが、これは御社にとって大きなビジネスチャンスなのではないでしょうか?
塩原:私たちが今取り組んでいる不動産の相続登記を、相続発生後3年以内に登記をしないと罰金が課されるという制度ができる中で、そのタイミングまでにメジャーサービスになっている必要があると考えています。「そういえば『そうぞくドットコム不動産』があるじゃないか」と最初に思い出していただけるようなポジションを取りに行きたいですね。
「ファミリーアカウント」によるデータ承継と行政のDXで相続をもっと楽に
小林:未来の終活領域のデジタルの可能性や、「こういう風になっていくんじゃないか」といったビジョンはおありですか?
塩原:「そうぞくドットコム不動産」をご利用いただくにあたってユーザーさんにアカウントを発行いただいているのですが、それを今後「ファミリーアカウント」としてご利用いただきたいという構想があります。家族の相続の記録をデジタルデータとして代々受け継いでいくイメージです。
そのデジタルデータと自治体行政のDXが最適な連携を取れるようにしていきたいです。そうなれば本当に便利な未来が来ると考えています。行政はデジタル庁も立ち上げるなど間違いなくDXの方向に向かってますが、おそらく行政だけでは完結しないと思っています。民間事業者も行政と手を組んでDX化を進めていく形になるのではないでしょうか。今後我々もそういったところに参入していきたいですね。
日本の終活を効率化&悔いのない終活を実現するために
小林:最後に、塩原社長からメッセージをいただけますでしょうか。
塩原:本日お話させていただいた通り、「そうぞくドットコム」は日々改善しておりまして、これからさらに使いやすいサービスを作っていき、「相続手続きといえば『そうぞくドットコム』」という想起を頂けるような日本を代表する終活サービスを作っていきたいと思っております。
非常に多くの事業者さん、プレイヤーさんが関わっているのが「終活」の領域だと考えています。いろんな連携等を踏まえて、日本の終活を効率化するのはもちろん、全ての方が悔いのない終活ができるよう、このエンディング産業を一緒に盛り上げていけたらと思っております。