日本は世界的な健康長寿国。「0歳の子供が平均して何歳まで生きられるか(0歳の平均余命)を統計的に予測した数値」を表す平均寿命と、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指す健康寿命。2つの寿命から各都道府県別の上位を発表。また「平均寿命と健康寿命で、上位の県が異なるのはなぜなのか」を考察します。

健康診断や脳の活性化 健康寿命を延ばす生活習慣
日本人の平均寿命は2011年の東日本大震災以降、9年連続で伸び続けていましたが、2020年の男性81.64歳、女性87.74歳をピークに、2024年は男性81.09歳(-0.55歳)、女性87.13歳(-0.61歳)と下回りました。
都道府県別にみると男性は滋賀県(82.73歳)が1位、長野県(82.68歳)が2位、女性は岡山県(88.29歳)が1位、滋賀県(88.26歳)が2位となり、男女ともに滋賀県が上位にあがり近年勢いを増しています。
平均寿命が地域ごとに差が出てしまう原因のひとつとして、都道府県民ごとの生活習慣の違いがあります。滋賀県は「タバコを吸わない人」の割合が男性で全国トップ(同県資料より)。また食塩摂取量や飲酒量の少なさ、日常的にスポーツをする人の数なども全国トップレベルで、滋賀県民は健康的な生活習慣を持つ人が多いとわかります。
一方健康寿命は、2022年のデータによると男性72.57歳、女性75.45歳です。都道府県別にみると、男性(73.75歳)・女性(76.68歳)ともに静岡県が1位で、最下位は男性(70.93歳)・女性(74.98)ともに岩手県となっています。
静岡県がトップになった要因は、温暖な気候やお茶の文化、地場食材の豊富さ、高齢者の就業率の高さです。また、地域一体となった健康増進計画や特定検診の推進により、高血圧予防などの健康意識が高いことも要因に挙げられます。
それでは平均寿命と健康寿命で、上位の県が異なるのはなぜでしょうか。それは各「長寿」の考え方の違いに起因します。
平均寿命上位の滋賀県は「死亡の抑制(長生き)」にフォーカスし、食生活や生活習慣の改善により病気を予防し、寿命全体を延ばしています。健康寿命トップの静岡県は「自立(動けること)」にフォーカスし、温暖な気候を活かした社会参加と運動で、要介護状態にならない生活(クオリティ・オブ・ライフ)を追求しています。
つまり、滋賀県は「病気にならずに長く生きる」ことで平均寿命が延び、静岡県は「元気な期間を極限まで引き延ばす」ことで健康寿命トップとなっているという違いです。
また平均寿命から健康寿命を差し引いた残りの年数が、日常生活に制限を持ちながら暮らす時間となります。2022年段階で健康寿命と平均寿命の差は男性が8.48歳、女性が11.64歳。この数字は、男女ともに約10年前後にわたり、健康上の問題で何かしら制限のある生活を送っていることを意味します。そして平均寿命と健康寿命の差が生まれると、入院や介護が必要となる時間が長くなることが予想され、健康維持や医療介護のための支出が多くなってしまいます。
健康寿命を伸ばすには、栄養バランスの取れた食事や適度な運動、定期的な健康診断などが大切です。また、読書など脳を積極的に活性化させることは認知症予防になります。健康でありたいという気持ちを大切に、健康寿命を伸ばす取り組みを個人でもしていきましょう。

