徳島県を中心にお仏壇の製造販売、霊園の企画開発·販売を行う株式会社ぶつだんのもりの岸本耕三社長にご登壇いただき、お仏壇とお墓双方の業界の未来展望について話を伺った。
ぶつだんのもりビジネスの概要
小林:今月の「月刊終活WEB」は株式会社ぶつだんのもりの岸本耕三社長と対談させていただきます。まずはぶつだんのもり様のビジネスの概要について教えてください。
岸本:お仏壇とお墓の販売、霊園企画を中心にさせていただいております。徳島県内、淡路に店舗を構えて営業しています。
小林:いまはお墓と仏壇の割合はどうなっていますか?
岸本:お墓が70%の割合です。霊園事業を手がけるようになってから、お墓の割合が徐々に増えてきました。
仏壇の形態がなくなっていく危機感 今の時代にあった仏壇とは?
小林:まずは仏壇についてお聞きしますが、全優仏(全国優良仏壇専門店会)の理事長でもいらっしゃいます。仏壇の業界についてどのようにお考えでしょうか。
岸本:仏壇の販売は世帯数自体は増えているので、それほど基数が下がっているわけではないのですが、常に危機感をもっています。いつか仏壇という形がなくなるのではないかと危惧しております。しかし、何事もそうですが、自らがチャンスを逃して、同じような仏壇の形を同じように作っているというのがあります。
何年か前、仏壇は仏間に納めるタイプが主流だったので、側面から仏壇を見ることは想定して作られていませんでした。でもある時、うちの営業マンが「仏壇をテレビの横に設置してきました」と言ったのを聞きました。これからは仏壇の置き方も変わってくるなと、そこでメーカーさんに右から見ても左から見てもどこから見ても美しい仏壇を作っていったほうがいいですよとお願いしたところから家具調仏壇ができました。
自らお店に立っているからこそわかる お客様の本当のニーズ
小林:そういった変化に柔軟に対応することが必要ということですね。
岸本:つねにそう意識しています。お客様が言うことを聞いていると、そうだなということが多いです。私はもともと営業マンだったので、最近意識してお店に出るようにしています。社長になってからお店にいると、お客様から怒られるんです。「社長さん、このカタログは『the.仏具』よ。昔から同じじゃないの。今の時代はもっと違ったものがあってもいいじゃない。どうしてこういう古いまま同じセットで同じカタログを作ろうとするの?」とおっしゃられたことが、とても衝撃的でした。やはりお客様から教えていただくことが多いですね。
樹木葬では縦の代々ではなく 横の繋がりが人を呼ぶ
小林:次はお墓の話をお聞きしますが、流れとして樹木葬や永代のお墓が増えています。社長は石の一般墓にこだわられているとお聞きしたのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
岸本:霊園を開設した時に、時代の流れからして合葬墓しか売れないのかなと思っていたのですが、徳島の場合は拝む対象が必要という声が多く、求めているものに違いがあるのだと感じました。もう一つ気になったのが、徳島の人は、友達感覚で「友達とこの並びで一緒に眠りたい」というお話をよくされます。縦の代々ではなく、横のつながりで、お友達がお友達を霊園に連れてきて紹介してくれます。霊園のほうもきれいで、紹介したいと思われる場所である必要があります。
失敗してもいい スピードをとにかく優先する
小林:社長はお客様の声を聞かれたり、東京に行かれたりと変化に対する柔軟性を感じますが、それは意識されていますか。
岸本:意識していますね。とにかく早く、早くやりたいと思っています。異業種のギフトショーや建築の展覧会などにもよく行って、周りから驚かれます。世の中の流れにしっかりついていきたいという気持ちをもっています。地元愛もあるので、地元の業者とお取引をするのですが、1年経っても2年経っても同じような場面でいるというのが大嫌いで、失敗してもいいから早くやってほしいと言っています。挑戦して失敗して、また次に挑戦してということをやっていかないと。できていないのがとにかく嫌いです。
小林:なるほど。大事なのはスピードということですね。ありがとうございます。