生産性とサービス向上にDXを導入。社会保険制度に依存しない仕組みを構築するためにインフォーマルの充実を。

株式会社高齢者住宅新聞社の代表取締役社長 網谷敏数氏にご登壇いただいた。介護事業者・医療機関の先進的な取組みなどの情報を届けるなかで、人材不足やDX導入の重要性、社会保険制度に依存する仕組みからの脱却など、業界の抱える課題について語っていただいた。

介護業界を取り巻く情勢と介護事業者が向かう課題とは?

社会保障の財源逼迫や少子高齢化介護事業者が向き合う数々の課題

小林:介護事業を取り巻く情勢や課題を教えてください。

網谷:介護報酬は介護保険制度に支えられていますが、いまは少子高齢者化問題もあり社会保障制度が逼迫しています。それでも9割は保証されていますが、伸びていかないのが課題です。そのため、事業者の自助努力で収益をあげないといけない状態です。就労人口からみると医療福祉人材は1割程を占めています。2025年から2040年頃には2割に達すると予想されています。少子高齢化により日本の就労人口は減っていきますが、医療福祉人材の必要性は高まっていくため、人材確保と定着率をあげることが大きな課題となっています。
まさにいま、生産性の向上や働き改革が大きなテーマとなっています。介護業界でもDXが注目され、テクノロジーの力による業務改革が進行しています。介護事業はアナログな業界であり、それがよかったという点もありますが、今は人材不足が深刻化しているため、テクノロジーを導入することで生産性を上げ、介護サービスの質を高めていきたいと考えています。

高齢者住宅新聞立ち上げのきっかけとその想い

施設ではなく「住まい」として高齢者住宅新聞のコンセプトとは?

小林:高齢者住宅新聞をはじめた経緯を教えてください。

網谷:2000年に介護保険政度が開始され、2003年頃から新たな媒体の立ち上げを模索しはじめました。きっかけは小泉政権下の大きな医療改革です。慢性期の療養病床の大幅削減を考案し、話題となりました。この案は通りませんでしたが、仮に通ったとして、30万床から10万床になった場合、20万床は介護施設や高齢者施設で補うしかないということになります。介護施設や高齢者住宅の需要が高まると予想し、高齢者施設であっても住宅色の強いところで暮らしたい方が多いのではないかと考え、単なる高齢者施設情報ではなく、住宅色を打ち出した高齢者住宅新聞を2006年に立ち上げました。高齢者の住まい・介護・医療をテーマとしています。

3年ぶりの開催となった「介護事業経営を“強くする”展示会」

「介護事業経営を“強くする”展示会」今年も7月に東京ビッグサイトで開催

小林:事業者に向けて「介護事業経営を“強くする” 展示会」を実施されていますが、詳しく教えてください。

網谷:毎年、東京と大阪で展示会を行っています。新聞で届けている内容を会場でリアルにお届けする展示会です。介護の商材を一同に見ることができ、商談や質問をしていただける機会となっています。また、有識者によるセミナーを開催しています。オンラインのセミナーや相談の場は多々ありますが、リアルで行うことによりお互いに関係性を構築することができるため、どちらも併用しながらやっていけたらと思っています。2023年度は7月に実施いたします。

今後の介護事業経営において「サービスの質向上」のために必要なもの

介護サービスの質向上のためにITを含め様々なリソースの有効活用を

網谷:アナログが強かった業界であるため、テクノロジーに馴染めないという方も多いと思いますが、テクノロジーの導入は避けられないと思います。アナログの良さである寄り添いや微笑み、触れ合いは今後も実践しながら、テクノロジーの恩恵を受けて仕事の負担を軽減できるようにしていくことで、サービスの質を向上させることに注力していただけたらと思います。保険外の部分では、様々なサービスがあるため、介護福祉医療の業界でも視野を広げて連携したり、サービスを取り入れたりなど、積極的に取り組むことで苦境を乗り越えられるのではないかと思います。

小林:網谷さん、ありがとうございました。

介護・医療業界向け展示会「住まい×介護×医療展 2023 in 東京」

主催 高齢者住宅新聞社

会期 2023年7月19日(水)・20日(木)

会場 東京ビッグサイト 西1・2ホール

時間 10:00 ~ 17:00(2日間共)

入場料   入場無料・セミナー聴講無料

※セミナーは予約不要・当日先着順

インタビュー全文は月刊終活 6月号に掲載されています

掲載記事

終活
2023.06.27