コロナ禍でも売上高は4年間で倍増。地域貢献活動で認知度・安心感が増大

 神奈川県中原区で2017年に創業した株式会社花葬の2023年6月期の施行件数は550件で、この4年間で2.8倍増となった。売上高も2倍以上増えている。そのいちばんの要因は、「地域貢献活動」に注力していることにある。葬祭部の芳川博樹氏に話を聞いた。

株式会社花葬・葬祭部の芳川博樹氏

創業は2017年だそうですが、経緯をお聞かせください。

芳川:社長の大屋徹朗は、大手互助会に12年間勤務していました。社長から聞いたところによると、葬儀の仕事にはやりがいを感じていたが、大手であるがゆえに施行件数が多く、ご遺族に十分寄り添えないことに葛藤をいだくことが多かった。そこで、ご遺族ひとりひとりに向き合いながら、自分なりの想いで葬儀サービスを提供し、適正な価格で満足度の高い葬儀を実現するために、大手互助会を退職して花葬を開業したそうです。

御社の施行件数と売上高について、コロナ禍前と直近の決算年度の数値を教えてください。

芳川:当社は6月決算ですので、コロナ禍前は2019年6月期、直近は2023年6月期の数値でお話しします。施行件数は、2019年6月期は200件であったのに対し、23年6月期は550件でした。売上高も4年間で倍以上となりました。

コロナ禍で倍以上の売上高を達成した葬儀社さんは、あまり聞いたことがありません。その要因をお聞かせください。

芳川:私は社長の大屋と知り合いで、花葬の開業から約1年後に入社したのですが、私なりに売上増の要因を挙げますと、4つほどあります。①花葬という社名の認知度が上がっている、②集客・受注が比較的うまくいっている、③紹介やリピーターが増える葬儀やお客様対応をしている、④地域貢献活動に力を入れている。この4つです。

以下では、挙げられた4つの要因について、具体的にお聞きします。

認知度向上策、集客・受注策:川崎市営バス約100台に広告看板を出す

ひとつめの要因の「認知度が上がっている」ことについてお聞きします。認知度を上げるためにどのようなことをされているのですか?

芳川:まず看板ですが、当社の営業エリアの目立つ場所に、横3メートル、縦2メートルくらいの大きな看板を5枚ほど出しています。それより効果が高いのはバス広告です。川崎市営バスの後ろに花葬の広告看板を出しているのですが、市営バス約100台に出していることから、葬儀の打ち合わせをする時に「バス広告を見ました」という方が多くいらっしゃいます。

どのような看板ですか?

芳川:通常の看板もバス広告看板もほぼ同じで、いろいろ書いても読んでもらえませんので、社名が目立つように大きく載せています。それで、葬儀が必要になった時には社名を思い出してもらって、ホームページで検索して、資料請求したり、相談しに来ていただけたりるようなつくり方をしています。

チラシの新聞折り込みやポスティングなどは行っていないのですか?

芳川:開業当初は折り込みやポスティングもやっていましたが、あまり効果がないので止めました。

認知度を上げるために、看板、バス広告以外に行っていることは?

芳川:プロサッカーチームの「川崎フロンターレ」やプロバスケットチームの「川崎ブレイブサンダース」のスポンサーとなっています。これによって当社の認知度が上がった効果は大きく、のちほど地域貢献活動のところで、詳しくお話しいたします。

花葬の打合せ室。川崎フロンターレのユニフォームや川崎市からの感謝状などが飾られている。

SEO対策に力を入れる

次に、2つめに挙げられた「集客・受注が比較的うまいっている」ことについてお聞きします。どのようなことを行っているのですか?

芳川:力を入れているのはホームページです。昔は、大手互助会など社名が知られていることが葬儀社を選ぶ基準になっていましたが、今は、社名や大きな会館を持っているからということで選ぶ人はほとんどいなくなり、ホームページを見て選ぶ人が多くなっています。なので、ホームページをしっかりつくっています。

ホームページのつくり方では、どういうところを重視しているのですか?

芳川:当社の特徴のひとつは「適正価格」であり、同業他社に比べ安いほうですから、その価格を訴求しています。「火葬プラン」は税込みで13万8000円から、「1日葬プラン」は28万8000円から、「2日葬プラン」は38万8000円から、「ハイクラスプラン」は61万8000円からですが、他社ではオプションにしているところが多い、白布棺や仏衣一式、お骨の壇も、すべてのプランにセットにしています。

 一方で質にこだわる方もいらっしゃいますので、例えば当社で施行されたご遺族にインタビューした事例を100件以上載せており、それを読んでいただければ、葬儀の質にこだわるお客様にもご満足いただけていることがわかるようにしています。

 あとは、葬儀社のホームページはわかりにくいところが多いので、わかりやすいつくりにしています。例えば、各プランに何がついているのか、何がオプションなのかをわかりやすく掲載しています。

ホームページを見てもらうためには、検索順位が上位になることも必要ですね。この点はどうされていますか?

芳川:検索順位が1位になるように、情報量を増やしたり、毎日更新するなどSEO対策はしっかり行っています。情報量を増やすということでは、先ほどお話したご遺族へのインタビュー事例や、お焼香の仕方や服装などのマナーについてなど、いろいろなコラムもたくさん掲載しています。

 リスティング広告も以前はやっていましたが、クリック単価が高くなり、お金がすごくかかりますので止めました。

本記事はweb用の短縮版です。全編版は本誌にてお楽しみください。

記事の全文は月刊終活 1月号に掲載されています

掲載記事

葬儀
2024.01.23