常識や前例に囚われない、時代にあった葬儀の形

120年以上前に創業し、福岡県久留米市を中心に葬儀業界の先頭を牽引してきた木下株式会社 草苑。従来の葬儀のやり方を変えた「木下方式の司会進行法」の提唱や、清めの塩の廃止など、固定概念にしばられることなく、人間尊重の経営方針に基づいた経営を続けている。アフターコロナを迎え、お葬式のあり方が大きく変わってきている今、同社が考えるお葬式の未来や経営について木下幹朗副社長に話を伺った。

木下株式会社 草苑/取締役副社長 木下 幹朗 氏

福岡県久留米が拠点の草苑 会社の概要

小林:今月の月刊終活Webトップインタビューは木下株式会社 草苑取締役副社長の木下様と対談をさせていただきます。木下様よろしくお願いします。早速ですが、草苑さんといえば久留米で非常に有名な葬儀社さんですが、会社の概要を簡単にご説明いただけますでしょうか。

木下:今福岡・佐賀で24ホールを展開させていただいております。事業の柱は大きくわけて3種類、ホテルブライダル業と葬祭業と互助会業になります。

戦後の葬儀シーンの変遷の中で木下式の司会が誕生

小林:ホームページにもありますが、「木下方式の司会進行法」について詳しく教えていただけますか。

木下:第二次大戦後に今の草苑という形ができてくる時、土葬から 霊柩車に変わったり、自宅葬から寺葬に変わったりして、葬儀のシーン自体が変わっていく時でした。葬列も徐々になくなっていくという時代の変化の中で、参列される方々もそれぞれに来られて、自分のタイミングで帰られる流れでした。ご住職様が一人でお経をあげているような場面を先代の木下勇が見て、ちゃんと生前にかかわりのあった方が決まった時間に集まって式を始めて、みなさんにちゃんと送っていただいて終わるというような式にしたいというところから今の形が生まれたと伺っています。

葬儀の常識の見直し「清め塩の廃止」

小林:実際に取り組む形を変えたという例として「清め塩の廃止」を行った意味合いや背景を教えていただけますでしょうか。

木下:「清め塩の廃止」の背景ですが、ご遺体を触ったり、 式が終わった後に塩で清めるという考え方がまるでご遺体が汚いもののような前提にたっているようで、人間尊重を考える木下勇からするとすごく違和感があることだったと感じられ、廃止してしまおうということになりました。
それまでこの地域にも清め塩はあったかと思うのですが、今は他の葬儀社さんでもあまりお見かけしないので、この地域ではかなり浸透した文化になったのだと思います。

小林:「忌中紙」を「喪中紙」と変えられたこともありますね。

木下:まさに先ほどの清め塩の考え方と一緒です。死は忌み嫌うものではないという考えで名前を変えようということになりました。

今後の葬儀のあり方や思い描く草苑の将来とは?

小林:今後の葬儀のあり方や将来的な展開について副社長のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

木下:どのような表現が正確かわからないのですが、今の葬儀のあり方は第二次世界大戦後のものなので、まだ70、80年の歴史しかありません。当初は密葬や一般葬が主流だったのが、少しずつ家族葬になり直葬になり、規模がミニマムになっていくような形で葬儀の形態は変わってきています。今後も葬儀の形は変わっていくと思います。
今後の展開でいうと私はまた自宅葬が戻ってくるのではないかということも考えています。ただもう少し早く自宅葬が増えると思っていましたが、コロナの影響があって少しスローペースなのか、そもそも私の予想と違って自宅葬は全然増えていかないのか、そのあたりはまだわかりません。

小林:いかがでしたでしょうか。福岡県久留米で地域に根差した葬儀を展開されている草苑の木下副社長にお話をお聞きしました。本日はありがとうございました。

インタビューの全文は月刊終活 7月号に掲載されています

掲載記事

葬儀
2023.07.20