新規で樹木葬をはじめる葬儀社に向けてローリスクの自社事業化をサポーㇳ

墓の在り方にも多様性が求められるなか、近年は樹木葬が売り上げを伸ばし、一般墓を上回るようになった。新規で樹木葬の自社事業化を検討する葬祭事業者も増えているという。葬儀社が新規事業としての樹木葬ビジネスをどのように成功させるのかについて、株式会社樹木葬研究会 代表取締役 長谷川 剛 氏に話を伺った。

株式会社樹木葬研究会 代表取締役 長谷川 剛 氏

樹木葬のコンサルティングで葬儀社の商圏拡大を支援

葬儀社の強みを活かした葬儀社の事業開発・推進を支援する背景とは

小林:樹木葬研究会の事業について教えてください。

長谷川:葬儀社を対象に、樹木葬を事業化するためのお手伝いをしています。葬儀社の商圏のなかに新規で埋葬供養の部門をつくりトータルでレクチャーしています。

小林:弊社の調査でも樹木葬は現在42%程を占めていますが、そのなかで葬儀社様に特化される理由を教えてください。

長谷川:販売促進のコンサル企業はいくつもありますが、弊社は開発に注力しています。葬儀社はもともと販売促進を得意としているため、販売力のある葬儀社であれば、樹木葬の開発さえ上手くいけば事業として十分確立させることができるのではないかと考えています。

小林:開発に注力されながら、お寺とのマッチングもサポートされているということですね。

初めての樹木葬で躊躇されがちな問題とは?

初期投資以外に躓きやすいポイント。従業員の一番のモチベーションはやはり…

小林:樹木葬事業を始めるには大きな投資が必要になると思いますが、資金調達などについてはいかがでしょうか。

長谷川:いままでの経験からいうと、ミニマムで300~500万円でスタートしています。大型の墓地で更地からのスタートで5,000万円程を要した葬儀社もありましたが、300~500万円の投資ができない葬儀社はほとんどないと言えます。多くの葬儀社が躊躇されている点は“本当に売れるのか”ということです。ある葬儀社では、社長と役員は樹木葬事業を始めたいが、社員はネガティブな反応でした。しかし事前予約のイベントでお客様の反響をみて考え方が変わったということがありました。当日とても楽しそうに働く姿を見て、やはりお客様から求められていることを実感することがなによりも力になると感じました。

樹木葬の事業化に取り組む意義と今後の展望について

埋葬供養のワンストップサービス化。そのためには樹木葬も墓石も重要。

小林:長谷川社長にとってこのビジネスの意義や目指す未来はどんなものですか。

長谷川:これからは埋葬供養や物を売るということを重要視するのではなく、お客様の課題を解決する方向性を事業化するのが最も重要であると考えています。栃木県にある葬儀社の例ですが、特に広告を出していないにも関わらず、墓石関連売上が年間で2,500万円上がっています。そこでは、物故者情報の重要性の認知と、お客様のニーズの掘起こし作業がとても大切な要素になっています。広告を出してお墓を販売するのではなく、将来的には葬儀情報から、お客様の埋葬供養に関する課題解決を事業化することが大切になってくると思います。参入障壁を感じている方も多いかと思いますが、石材店は、樹木葬やコンパクトな埋葬ができるようなインフラを整備し、それを契機に葬儀社とジョイントする。そして、樹木葬以外でも、墓じまいや、新たにお墓を建てる方もいらっしゃるので、そこのフォローをしっかりと行いながら、葬儀社には葬儀社の得意分野、そして石材店には石材店にしか出来ないノウハウ、そこにお寺様が加わりそれを融合して、新たな事業にすると言うスキームはいかがでしょうか。もちろん抵抗は有るかも知れませんが、これまでにはない新たなマーケットが発掘できるようになるのではないかと考えています。

小林:長谷川さん、ありがとうございました。

インタビューの全文は月刊終活 7月号に掲載されています

掲載記事

お墓
2023.07.27