VRお別れ会の新サービスに見る供養の未来

丹青社・丹青ヒューマネット・ハウスボートクラブ3者対談

先月紹介した丹青社と鎌倉新書が共同で開発した新たな供養の形・「VRお別れ会」。両社は、この後2022年3月11日にさらにVRの機能をアップデートしたスタンダード版のリリースを発表。スタンダード版は既にリリースしたシンプル版からさらに機能を追加し、参列者が自由空間でインタラクティブにお別れ会に参加できる画期的なサービスとなっている。
今回は、新サービス開発を行った丹青社CMIセンタープリンシパルプロデューサーの下村康之氏・丹青ヒューマネット代表取締役石畑和恵氏・株式会社ハウスボートクラブ代表取締役社長COO赤羽真聡氏の3者にスタンダード版の特徴や、今後の供養の場や、さらに企業イベントのあり方に与えるインパクトについて話を伺った。

※株式会社ハウスボートクラブは鎌倉新書の子会社です。2022年2月1日付けでStory事業をハウスボートクラブへ事業譲渡。

VRお別れ会について教えてください。

赤羽:コロナ禍以降、葬儀やお別れ会などの催しに「集えない」「規模が小規模になってしまう」という状況に直面したことがきっかけです。
「亡くなった方にお別れが言えない」という状況に対し、我々にできることはないかを2020年の夏頃から検討を始めました。その中でも「ライブ配信」は一つの有効な手法かなと思ったのですが、ライブ配信はどうしても一方通行になってしまうので、より参加型のお別れサービスはないか模索していました。
そのタイミングで、空間デザインを手掛けている丹青社さんと、VRという機能を使って参加型のサービスができるのではないかと検討をはじめました。両者で何ができるか試行錯誤して、辿り着いたのが今回のテーマである「VRお別れ会」になります。
このサービスは、現在2つのパターンがあって、1つ目は決まった流れに沿って参加するウォークスルー型のシンプル版、2つ目は自由空間で自分の好きなタイミングでコンテンツを見たり、さらにコンテンツを投稿いただけるインタラクティブなスタンダード版を展開しています。

下村:VRはコンシューマー向けゲームのようなイベント性や派手さがクローズアップされがちですが、ビジネスにおけるVRはもっと違った観点で活用できるのではないかなと私たちは考えています。デジタルだからこそリアルではできない新たな空間を作れることや、時間と場所を超えていろんな人が参加できるのがVR空間の魅力だと思っています。丹青社としてはVRのこの特性を生かし、新たな空間としてご供養の領域にサービスを提供していきたいと思っています。

石畑:お別れの会は、リアルに参加した場合でも記帳に始まり、主催者の挨拶があって、亡くなった方へのお別れをする場となっています。これがバーチャル空間の中でリアルと遜色なくご提供できるのがVRお別れの会の特徴となっています。
参加者同士がリアルのお別れ会と同様に故人を偲んで会話ができるところが特に好評でした。
VR空間を利用することで、海外をはじめとした遠方の方でもお別れ会に参加できるというのはとても大きなメリットだと感じています。

VRを活用してみた実際の使用感を教えてください

赤羽:2022年2月15日に弊社の15周年記念イベントでテスト運用をいたしました。
本来、このサービスはお別れ会に活用するものなのですが、今回は企業イベントにも役立てられるのではと思い、企業イベントバージョンで導入した形です。
内容としては、弊社ハウスボートクラブ15周年のイベントと、当社の取締役でもあった船長が退任ということでお疲れ様会を執り行いました。
実際に、船長のお疲れ様ムービーや、船長へのコメントを関係者の方からいただくなどの形でサービスを活用しました。実際に導入してみて、改善点もありますが企業イベントでも使えるのではないかという手応えを感じられましたね。

下村:参加者の皆さんが贈ったメッセージがリアルタイムで見られるのがいいですよね。
私は船長さんとは面識がなかったのですが、思わず「お疲れさまでした!」というメッセージを送ってしまいました(笑)。
赤羽さんがおっしゃる通り、メッセージがリアルタイムでに反映されたり、その場で写真を投稿できるコミュニケーション機能は、お別れ会だけではなくさまざまなイベントに活用できるのではないかと思います。

石畑:まさに、VR空間はお別れの会以外の様々なシーンでも活用できることがわかったのは、大きな収穫ですね。

下村:主催者以外の方も動画や写真を選別するプロセスを通じて作り手として参加できる体験も、付加価値の一つになるのではと感じました。

赤羽:葬儀はどうしても準備期間が限られますが、お別れの会は四十九日前後に執り行うことが多く、亡くなってから少し時間が経っています。遺族の方も心の整理がついて、写真を選んだり、どのような会にしようかとあれこれ考えながら作り上げることができます。このような時間もサービスの大切な特徴のひとつだと思います。

今後の「VR活用」をどのようにお考えですか?

赤羽:このVRを活用したサービスを、今後より多くの方に活用していただくことが弊社の大きな目標です。亡くなった後だけではなく生前でも使える機能もあります。お別れ会だけにとどまらず生前葬や、さらにはさきほどお話しした通り企業イベントなどにもサービスを広げていきたいと思います。
VR空間はリアルで集まれないシチュエーションの補足という側面もあるかもしれませんが、一方でリアルな場がなくても成立するので、付加価値を高めながらお客様に提供していきたいですね。

石畑:私は、家族のイベントの節目節目にVRを使った新しいサービスを提供できるのではと考えています。お亡くなりになったことが出発になるかもしれませんが、故人の歴史を知ることで家族の歴史を追体験できますし、そこから新たに家族がつながっていく体験を広げていきたいと思います。

下村:鎌倉新書さんとVRイベントを行い、大いにVRの可能性を感じることができました。
今回はお別れの会についてフォーカスしてお話をしましたが、葬儀とお別れの会の間にある中間地点で新しい市場を開拓していきたいですね。
今後、丹青社としては葬儀とお別れ会の中間の場を通して、お客様に新しい体験を提案できたらという思いがあります。

インタビューの全文は月刊仏事4月号(2022)に掲載されています
左から、ハウスボートクラブ 赤羽真聡氏/丹青社 下村康之氏/丹青ヒューマネット 石畑和恵氏
葬儀
2022.04.12