売り上げよりも利益率を重視。 持続的な組織として成長していく仕組み作り。

ライフアンドデザイン・グループ株式会社 取締役副社長(COO)伊藤 健 氏

前期、前々期とコロナ禍の厳しい状況下でも数字を伸ばし続けるライフアンドデザイン・グループ株式会社は、専門葬儀社の年間施行件数全国1位となった。時代や環境の変化に素早く対応し、成長し続けるライフアンドデザイン・グループ株式会社の利益率を重視する経営や労働環境、人材について話を伺った。

グループ合計2万件超/施行件数全国トップの専門葬儀会社COOとして

施行件数140%増にも甘んじない全国No.1企業が体現する「利益体質」経営

小林:コロナ禍などで厳しい状況のなかでも成長されている秘訣を教えてください。

伊藤:葬儀の施行件数はいままでの積み重ねもあり、昨年は一番伸びた年になりましたが、当社では前期よりもコロナ禍で厳しい状況であった前々期に数字を伸ばせたことを評価しています。2022年は死亡者数が多かったこともあり、前期は伸ばしやすかったという結果になります。私は売り上げや件数よりも利益が一番重要だと考えています。利益から逆算して利益を生み出すためのオペレーション体制や業務効率の向上を意識しています。グループ全体の売り上げは185億円で経常利益は約60億円になりました。前期は売り上げの伸び率より、利益の伸び率が大きくなりました。

分業制により業務効率化を徹底向き不向きを尊重する「適材適所」の組しく戦略

小林:働き方については分業制をとられているようですが、詳しく教えてください。

伊藤:当社は完全分業制です。葬儀の相談を受ける営業と施行を担当するサービスは働き方が異なると思っています。営業を強みとする人材とサービスを強みとする人材は分ける必要があります。向き不向きがあるため、向いていない人材をあてることで単価は下がりますし、サービスの質も下がってしまいます。それを避けるために分業制にしています。

小林:オペレーションの役割を明確にされていますね。伊藤さん自身も業務を細かく見られていますか。

伊藤:目標設定も細かく設けています。すでに浸透している部分はチェックをする程度ですが、業務改善の必要がある部分に関しては私が入ることもあります。数字に関してはウェブプロモーションでコストをかけているため、効果測定などは細かく見ています。

分業化により採用・育成戦略への好影響/「万能型」から「スペシャリスト型」へ

厳密な職務定義により採用も最適化専門性の高さに相応しい報酬を払える組織

小林:現在、グループ全体の従業員数はどのくらいでしょうか。また採用についてはいかがでしょうか。

伊藤:採用に関して、以前はサービスと営業の両側面を兼ねそろえた人材を求めていましたが、分業制によりどちらかの側面で採用ができるため、選択肢が増えました。なかでもサービスは特に細かく分けています。お客様の前に出るサービスであってもバックヤードの仕事を任されることが多い業種でしたが、サービス面のバックヤードのみを担当する人材を採用することで、採用のハードルが下がり、良い人材を採用しやすくなったと思います。
また、給料に関しては、上げていかないと良い人材は集まらないと思っています。利益をしっかりと出して、給料の底上げをすることで新たな人材が集まり、離職率も下がります。そのサイクルを構築することが大事だと思います。

小林:人材育成や後継者に関してはどのようにお考えですか。

伊藤:明確な答えは出ていませんし、経営する上での悩みでもあります。例えば、いまのリスティングやマーケティングのプロモーションは、数年経てば同じ形ではなくなると思っています。そのため、いまのモデルを動かすには積み上げたものが最適かもしれませんが、数年後にモデルが変わった場合は今のやり方が最適とは限らないため、私がやる必要はないと思っています。

最大の強みは「変化に対応する力」持続的な組織として成長していく仕組み作り

小林:最後に、今後の展望を教えてください。

伊藤:一定レベルの企業成長をさせていただいたので、会社として別の人材を引っ張り、持続可能な会社の体制をつくることができたらと思っています。必ず人が絡むビジネスであるため、変化に強いというところを今後も活かしていきたいと思います。コロナ禍にさまざまなことを変えたことで、多くの社員が変化に対応する力を身につけてくれました。今後もさらにその力を強めて、次に繋いでいけたらと思います。

小林:伊藤さん、ありがとうございました。

インタビューの全文は月刊終活 8月号に掲載されています

掲載記事

葬儀
2023.08.22