【エンディング業界2022年のチャレンジ】株式会社鎌倉新書 小林史生

株式会社鎌倉新書

代表取締役社長COO 小林史生

コロナ禍の供養業界において、どんなことを感じましたか?

すべての業界に言えることだと思いますが、変化がいっきに5年ほど進んだと言われています。コロナ禍におけるユーザーの生活上の制限、行動様式·価値観の変化などによって供養に対するお客様のニーズが変わってきているのを感じます。たとえばお墓の場合、コロナ禍で密を避けたいという意向から「樹木葬はどうなんですか?」といったお問い合わせの声を多く伺うようになりました。また、葬儀の場合は火葬式や一日葬のニーズが増えています。もちろん、そこでお客様の課題を伺って違う形に変わっていくことはありますが、最初のお客様のお問い合わせは、やはりコロナ禍の社会の生活用式に合ったものになっています。こうしたことからわれわれは常に変化し続けるという前提でサービスを考えなければいけないと思います。そこで大切なのはお客様がどういうことを望んでいるかを的確に掴み、それに対してしっかり合わせていくことです。コロナ禍のもと、そうした対応をしてきた事業者様は多いと思いますが、これは2022年も続いていくでしょう。私たちのサービスも含めて、変化に柔軟に適応できる事業者様が生き残っていけると考えています。

インターネット事業を通じた供養業界への貢献として、どのようなことを考えておられますか?

インターネットというのはあくまでツールです。供養業界の事業者様の視点で考えると一つのチャネル(経路)です。現在はオンラインのチャネルもオフラインのチャンネルも両方あります。そういった意味ではすべてがオンライン化されるわけではありません。ただし、その割合は増えていくと思います。たとえばショッピングの業界ならインターネットを経由した買物の割合が1~2割、その商材とインターネットとの相性によっては3~4割あるものもあります。
では、この葬儀供養業界のサービスではどうかと言うと、これはあくまで私の感覚値ですが、現在はだいたい1割、10%くらいのお客様がインターネットを経由して来られているのではないかと思っています。この割合はこれから15%、20%、30%とどんどん増えていくと予測できます。ですから今後、インターネットというチャネルを活用していくことは、ますます重要になってくると思います。
私たちのビジネスは、お客様と事業者様をお繋ぎすることです。当然、私たちだけではお客様の悩みは解決できません。ですから葬儀、お墓、仏具、終活、それぞれの業界に特化された事業者様としっかりタッグを組むことでより良いサービスをご提供できるようにすることがこれからますます大切になってくるでしょう。
そして、それぞれの課題に対して事業者様が現在すでに行っている良いサービスに変化を加えて提供していただくこと――これがさらに大切なポイントです。先ほども申しましたが、コロナ禍を契機にお客様のニーズの変化は加速しています。私たちがその変化したニーズをしっかり把握してお繋ぎしますので、事業様側もその変化を受け入れる形で対応していただき、うまく協力して進めていくことができれば、と思っています。

これからの供養·終活をどう捉えていますか?

今、世の中では「ESG」――持続可能な世界を実現するために、企業の長期的成長に必要な環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3つの観点を表す――という言葉が頻繁にニュースなどで現れています。そうした中でこの終活・供養の業界では特に「S」の部分、つまり超高齢社会における様々な問題を解決するという仕事を担っています。人々すべての将来的な生活の向上という意味では、私たちの行っている仕事は今、「S」のど真ん中にあるのではないかと考えています。
お客様のニーズは変化し、多様化しています。それぞれの人生のストーリーの中にある多くの課題をいっしょに解決していくことが大切です。多くの人たちにとって終活の持つ意味は今後もますます大きくなるでしょう。そうしたことを踏まえて、ぜひ、より多くの事業者様とごいっしょに取り組んでいきたいと考えています。

月刊仏事 1月号に掲載されています

掲載記事

特集 終活
2022.01.04