多死社会。若者もいつかは必ず訪れる(いや、あす訪れるかもしれない)死としっかり向き合って生きている。有限会社統美の広報デザインを担当した「さだまらないオバケ」は、死生観をテーマに活動するミレニアル・Z世代のデザインユニットだ。そのユニークな活動のあらましを紹介しよう。
さだまらないオバケ
デザイン系の専門学校「東京デザインプレックス研究所」(東京都渋谷区)が運営する、学⽣主体のラボラトリー「FUTURE DESIGN LAB」から誕生したデザインユニット。死を拒むのではなく、亡くなった大切な人のことをいつまでも想い、語り合い続けられる世の中になることを願い、「死のリデザイン」に取り組んでいる。取材時のメンバーは、左から鴻戸美月氏、趙愛玉(チョウ・エオ)氏、佐久間美季氏の3人。
「死のリデザイン」が活動コンセプト
10月22日(日)の夜、東京・渋谷にある未来創造拠点「100BANCHI」で、『死のリデザイン~デザインの視点から考える「新しい弔いのカタチ」とは?~』と題するトークイベントが開かれた。
「今こそ死に対する向き合い方・考え方を変えるべきでは?」
そんな問題意識を持つ4人のパネリストが語り合うといった内容で、キャパシティ50人ほどの会場は、このテーマに関心を持つ幅広い世代の人たちでほぼ満員となった。
このイベントを主催したのは、4人のパネリストのひとりでもある鴻戸美月氏を代表とする「さだまらないオバケ」なるユニット。デザイン専門学校のソーシャルデザイン系ゼミから生まれたといい、メンバーはクリエイティブ業を自営していたり、企業や団体に勤務していたりとさまざま。独自企画の商品開発、イベント開催、そしてエンディング関連の企業から依頼を受けてデザインの提供を行ったりしているのだという。
「人生の早い段階で死について考えることが、自分はどう生きたいのかを考えることにつながる」
同ユニットはそう明言し、「デザインの力で死への向き合い方を変え、今を生きる力に変換する」こと、つまり「死のリデザイン」を活動コンセプトとしている。そうしたコンセプトに基づき、死への恐怖感・嫌悪感を視覚的に払拭させ、死と向き合いやすくなるようなポップなデザインを制作。ほかにはないこうした活動が斬新でユニーク、かつ質の高いものと認められ、2023年度のグッドデザイン賞(於:一般向けの取り組み・活動部門/主催:日本デザイン振興会)を受賞もした。