飼い主の予防意識や飼育環境の向上により、ペットの長寿化が進んでいます。その結果、飼い主とペットの両方が高齢になるケースも増加。「もし自分に何かあったとき、この子は大丈夫だろうか」と不安を抱える人も少なくありません。そこで今回は、飼い主にもしものことがあった場合に備える、ペットのための「終活」について紹介します。

大切なペットの未来を守るために、今から「終活」を
まず大切なのがペットの引き取り先です。飼い主が世話を続けられなくなったときの対応を家族などと話し合い、意向を共有しておきましょう。
身近な家族や親族、友人にお願いするケースが一般的ですが、その際に活用できるのが「負担付遺贈」や「負担付死因贈与契約」といった法的な手段です。どちらもペットの引き取りや世話をお願いする代わりに、一定の財産を贈るもの。「負担付遺贈」は遺言によっておこなう飼い主側の一方的な意思表示ですが、「負担付死因贈与契約」は当事者間で合意を交わすことで成立します。
ただし相手にペットを飼えない事情がある場合や、「きちんと世話をしてもらえるのか」といった不安を感じることもあるのではないでしょうか。心配なときは、「ペット信託」の活用もひとつの方法です。
「ペット信託」は飼えなくなったときに備えて、ペットのための費用(信託財産)を信頼できる第三者(受託者)に預けておく仕組み。受託者は信託財産を管理し、ペットを引き受けた人や団体にエサ代や通院費などを支払います。飼い主の入院時などにも利用でき、信託監督人を置けば適切に飼育されているかチェックしてもらうことも可能です。
なお老犬・老猫ホームやNPO法人などが、終生飼養や引き取りをしてくれるケースもありますが、利用には一定の費用がかかることも。大切なペットが快適に暮らせる環境かどうかも含め、あらかじめ確認しておくと安心です。
またペットが新しい環境でもストレスなく過ごせるよう、必要な情報をまとめておくことも重要。たとえば手術歴やワクチン接種の記録、食事の好み、ペット保険の加入状況などを記録しておくと、引き継ぐ側の大きな助けになります。葬儀やお墓に関する要望も記しておけば、飼い主としての心残りも和らぐかもしれません。
ペットの未来は飼い主の準備次第で大きく変わります。もしものときに愛するペットが戸惑うことのないように、今できることから始めてみませんか。