実は科学的な理由があった! 高齢者が「早寝早起き」になるメカニズム【ちょっとカラダにイイ話vol.23】

       
ちょっとカラダにイイ話 医療・介護
2025.12.22

高齢者によくみられる「早寝早起き」。年齢を重ねるにつれて眠れなくなり、なかには明け方頃から活動を始める人もいます。実は高齢者になればなるほど早寝早起きになるのには科学的な理由があるよう。その仕組みを詳しく見ていきましょう。

写真出典:PIXTA

高齢者が早寝早起きになる科学的な理由

まず高齢者が朝早く目覚めやすくなるのは、若年者に比べて「体内時計」に変化が生じるため。加齢によって睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになることで、自然と早い時間に目が覚めやすくなります。

体内時計の前倒しに加えて、高齢者は若い頃より「眠りが浅くなる」のも早起きになる理由のひとつ。年齢が上がるにつれて睡眠時間が短くなり、深い眠りである「ノンレム睡眠」の割合が減少していきます。その一方で、浅い眠りである「レム睡眠」の時間が増えるため、小さい物音で起きてしまうことも。さらに、就寝中に尿意を感じて起きてしまうことも多くなり、全体的に眠りが浅くなってしまいます。

「早寝早起き」でしっかり睡眠をとっているように見えても、途中で目が覚める回数が多く眠りが浅いため、実際の睡眠時間は若者より少ない傾向に。そのため、長く寝床に入っていても深い眠りが得られにくく、睡眠に対する満足度は低いと言われています。

高齢者が質の良い睡眠をとるためには、規則正しい生活が重要。たとえばウォーキングなどの軽い運動を日常的におこなうことで、身体に適度な疲労感が生まれて眠りにつきやすくなります。また、食事を1日3食バランスよく食べることも大切。発芽玄米や海藻類など睡眠の質の向上に適した食材を取り入れると、深い眠りを得やすくなります。こうした生活習慣の見直しは、高齢者に起きやすい不眠症といった睡眠障害の予防や改善にもつながるため、無理のない範囲で規則正しい生活を意識していきましょう。

実は科学的な理由があった高齢者の早寝早起き。生活習慣を整えることで睡眠の質が向上し、健康維持や病気の予防にもつながります。これを機に、生活リズムを見直してみてはいかがでしょうか。