癖になってない? 関節がポキポキ鳴る「関節鳴らし」に潜むリスク【ちょっとカラダにイイ話vol.11】

       
ちょっとカラダにイイ話 医療・介護
2025.09.29

指の関節をポキポキと鳴らすことが癖になっている人はいませんか? また、意識していなくてもふとした拍子に膝などがポキっと鳴ることも。実は、この関節がポキポキと鳴る「関節鳴らし」にはリスクがあるのだそう。そこで今回は、関節鳴らしが体にどのような影響を及ぼすのか、気を付けるべきポイントや関節が鳴る原理も合わせて詳しく見ていきましょう。

写真出典:PIXTA

関節鳴らしにはリスクがたくさん

関節を鳴らすとポキっと硬い音がするため、関節にある骨が擦れることで音が鳴ると思っている人も多いかもしれません。しかし、実際は骨が鳴る音ではなく、関節内で起こる現象に要因があります。

関節は、もともと関節包という丈夫な筋でくるまれ、関節包内部には関節の動きをスムーズにするための関節液が満たされています。体を動かすと、関節液の内部で圧力が変化し、関節液内に無数の気泡が発生することに。実はこの気泡が弾けた時の音が、関節がポキっと鳴る音の正体なのです。

関節を鳴らした直後は関節液内の気泡がなくなっているため、同じ関節を鳴らしても音はなりません。しかし、時間が経つとまた気泡は発生し、再びポキポキと音が鳴ります。

この関節鳴らしは癖になってしまう人も多いようで、その理由については諸説ありますが、ストレッチ効果が影響しているのではないかとのこと。強い力で関節を伸ばすことで柔軟性や血流が改善されるため、関節を鳴らすことで「気持ちいい」「すっきりした」と感じてしまうようです。

また、関節鳴らしの影響として「指が太くなる」ということがよく言われてきました。実際には科学的根拠はなく、アメリカの研究者が60年間片方の指を鳴らし続けるという実験をしたところ、左右で太さは変わらなかったという報告もされています。

ただし、やはり関節を鳴らしすぎるのは好ましくありません。気泡が弾ける際に発生する衝撃はかなり大きく、関節が損傷する可能性もあります。また、関節鳴らしを繰り返すと、傷ついた組織の修復が追い付かず関節が変形することも。

特に首の骨を鳴らしている人は要注意。首は脊髄や動脈、神経などが通っている重要な部分であり、椎骨動脈が傷つくと脳梗塞や脳卒中のリスクを高める危険性があります。

もし関節を鳴らしたくなった場合には、ゴムボールを握ったり、音が鳴らない程度にゆっくりとストレッチするのが有効。関節鳴らしのリスクをしっかりと理解した上で、日々の習慣を改善していきましょう。