「手を合わせることは感謝の気持ちを育むこと」 大切な習慣や文化を伝承するために前進し続ける

株式会社永田屋 代表取締役社長 永田浩三氏。明治34年に創業し、今年で74期を迎える株式会社永田屋。近年、仏壇・墓石事業だけでなく、フランチャイズで葬儀事業を展開した。長い歴史をもちながら、伝承と前進を続けている。現代におけるお仏壇のあり方や事業展開について話を伺った。

株式会社永田屋

代表取締役社長 永田浩三氏

歴史とともに培ってきた「永田やの心」

小林:永田や創業の歴史とこだわりについて教えてください。

永田:明治34年に創業し、初代は曽祖父で仏師をしていました。二代目にあたる祖父が昭和24年に株式会社永田屋として会社を立ち上げ、今年で74期を迎えます。父の代で14店舗まで展開しました。父は永田やの心を理念として掲げました。「礼の心を大切にする・耐えることを喜びとする・自分よりも他人を大切に・前進を合言葉とする・父さん母さんに感謝する」という5つの心です。

地域ブランドの伝統工芸品「三河仏壇」を守るために

小林:三河仏壇の普及にご尽力されていますが、改めて三河仏壇について聞かせてください。

永田:三河仏壇は経済産業省から伝統的工芸品に指定されている、昔ながらの技術と技法を伝承しているお仏壇です。残念ながら年々、作成本数は減少しています。
お仏壇は住宅事情とリンクしている部分があります。ここ数年は畳の部屋がない住宅が増えていることで仏間が減少してきました。私たちの取り扱う三河仏壇は三尺以上の仏間が必要になります。しかし、最近はフローリングの部屋に馴染みやすい形のお仏壇が求められるため、家具調仏壇やコンパクトなお仏壇が主流になりました。
職人さんの高齢化が進み、組合員も減っているため、数年後には三河地方でお仏壇が作れなくなってしまうかもしれません。それでも、求めてくださる方はみえるので、私たちは伝承し続けなければならないと思っています。新商品を提案し、少しでも職人さんの仕事が増えるようにと考えています。

仏壇の役割と日本の文化を守り伝えていくために

小林:永田社長はお仏壇の役割について、どのようにお考えですか。

永田:お仏壇は手を合わせることで感謝の意を伝えることになるため、日々の生活のなかで心を育む教材になると思います。お仏壇でお参りをする文化は日本人の心を育むうえで、とても大事な役割を担っていたのではないかと思います。

記事の全文は月刊仏事 5月号に掲載されています

掲載記事

特集 仏壇
2022.05.17