先見の明で事業展開 本質は変えずに、 新しいことに挑戦し続ける葬儀社でありたい

父が創業した葬儀社を継承し、愛知県豊田 市を中心に11店舗まで拡大させた。業界の先駆けとなり、着実に新規事業を展開していく株式会社FUNE 代表取締役 三浦直樹氏に話を伺った。

フューネのコンセプト「感動葬儀」に込められた想い

小林:FUNEさんのキャッチフレーズ「感動葬儀」という言葉は、大変すばらしいと感じております。この言葉が生まれた経緯や意味合いなどを教えていただけますでしょうか。

三浦:父親の代のミウラ葬祭のころから弊社が愚直にやってきたことを、一番シンプルに表す4文字の言葉が「感動葬儀」です。誤解のないように言いますと、「感動葬儀」とはお涙頂戴の儀式をやるということではありません。「感動」の語源は中国から来た「感即動」で、「気づいたらすぐやる」という意味です。「即」というのはとても大切で、現在生き残れているのも他社と比べてスピード感を大事にしているからだと思っています。

コロナ禍の苦境を乗り越えるための経営努力とは

小林:コロナ禍で苦戦されている葬儀社さんが多いなかで、FUNEさんは業績が順調とお聞きしています。コロナ禍の現状や、順調な理由をどのように捉えているかをお聞かせください。

三浦:コロナ禍により、日本中の葬儀屋さんが苦戦していると思います。他社さんの業績をみると、何も手を打たなければ売り上げは3割ほどダウンしているようです。一方、成長している葬儀屋さんでは1割以下のダウンにとどまっています。
弊社も努力の甲斐あって、取り扱い葬儀件数がかなりの勢いで伸びております。「見せ方」「やり方」「イメージ」「情報公開」について、インターネットさらにはスマートフォンで自分たちの存在意義をどう発揮していくか、いう点においても重要なタイミングだと思っています。

数多の競合に負けない「技術力」の高め方

三浦:当たり前かもしれませんが、葬儀の技術力向上は重要です。技術が圧倒的に良くないと大資本には負けてしまうため、弊社では独自の社員研修をおこなっています。研修には自分たちでできる研修と我々経営者がやらなくてはならない研修があり、この2種類をバランス良くおこなっています。
ちなみに今日の午前中は茶道教室ということで、全社員にお茶を習わせておりました。やはり富裕層のお客様は立ち居振る舞いを大変気にかけており、「社員の質が全然違う」とおっしゃっていただいております。

社会の変化に対応しながら「日本初」にも挑む

三浦:出店をスタートしたのは2015年で、当時はお葬式の客単価がどんどん下がっていくことに大変焦りを感じておりました。10年先には家族葬ばかりになり、いずれは葬儀社が葬式だけでは食べられなくなるだろうと予測して、仲間の葬儀社さんにも伝えておりました。当時はまだショッピングセンターの中に仏壇店はなく、イオンモールさんが言うには葬儀社として正規に出店したのは弊社が日本初のようです。私は「日本初」が大好きなんです。

小林:ショッピングセンターへの出店がうまくいく、ビジネス的な自信はありましたか。

三浦:自信はそれほどあったわけではありません。今お伝えしたのは成功した事案で、失敗した事案も裏にはたくさんあります。

時代とともに変えるべきものと変えてはいけないもの

小林:最後に、この先5年後10年後の株式会社FUNEさんの将来の展望や、こうしていきたいなどの希望をお聞かせください。

三浦:絶対に大事にしなくてはいけないと思うのは、供養の心だと思います。よくカセットテープやCDで例えるのですが、私は昔から中森明菜が好きで、小学生の頃はレコードで聞いておりました。それがカセットテープになりCDになりハードディスクになり、今や機械の中に曲は無く、クラウドから聞く時代になっているわけです。でも、時代とともに聞く媒体が変わっても、中森明菜の曲自体は色褪せないんですよ。 どんな時代になっても。同じように、供養の形は変わっても心は変えちゃいけないと思うんです。 葬儀の大切な部分はそのままに、お客様に応じてフォーマットを変えていくことが必要だと思っています。

インタビューは月刊仏事 9月号に掲載されています

掲載記事

特集 葬儀
2022.09.22