歴史と格式ある業界だからこそ守る価値がある“嘘をつかずに、本物を扱う商売をすること”

安田松慶堂 代表取締役社長 安田元慶氏にご登壇いただいた。1792年に創業し、日本橋から銀座に店舗を構え、百貨店出店で多くのお客様に仏壇仏具の大切さを伝えてきた。創業から今までの安田松慶堂の想いを語っていただいた。

業界をまとめる立場から考える役割とビジョン

業界として守りたいものとは 業界のために担う役割とは?

小林:安田社長は、全日本宗教用具協同組合 専務理事、仏壇公正取引協議会 理事を務められていますが、どのようなことに注力されていますか。

安田:礼節をわきまえ、格式を重んじる伝統的な業界ですが、それ古いと捉えられることもあります。しかし、格式や伝統は長い年月と多くの人の関わりによって積み重ねられるものであり、一朝一夕に築くことはできません。このような積み重ねが今でもある業界だからこそ、大切にしていかなくてはいけないと強く思っています。2022年から全宗教の専務理事に就任しましたが、一般の方に認知していただくための組合の活動や、仏壇店やメーカーの魅力を伝える役割を担っていきたいと思っています。

百貨店を中心に販売チャンネルを展開 その歴史と戦略

200年以上の歴史をもつ安田松慶堂 営業の根幹にあるものとは?

小林:百貨店に売り場を構えて販売されていますが、販売チャネルを百貨店中心にした理由を教えてください。

安田:コロナ禍は対面で販売することが厳しい時期を経験し、対面でご案内することの大切さを再認識する機会となりました。ECサイトを通じて、お客様に幅広い選択肢をご用意することで、仏壇仏具の認知度向上に繋がります。一方で、実際にお客様とお話をして、商品を見て、触って、香りを感じて、選んでいただくことも等しく重要なことです。今後も銀座店と各百貨店での対面販売に力を注ぎたいと考えています。それが安田松慶堂の強みであり、進むべき道だと思います。

「安田のカタチ」に見るモノづくりへのこだわり

「安田のカタチ」と信頼を得る 安田松慶堂の「本物」へのこだわり

小林:安田松慶堂はメーカーとしての側面もありますね。

安田:寺院仏具になりますが、埼玉県三郷市に自社工場があり、職人が5人います。ファンの方々には昔から、安田のカタチと呼んでいただき、前机や須弥壇の脚の形や繊細さなどをご評価いただいています。寺院仏具は50年、100年と長く使っていただくものであり、それを見越したものづくりを常に意識しています。次の世代にも使っていただけるように確かなもの作り続けることが私たちの使命だと思っています。

さいごに 「究極の商売」に携わる者としての矜持を

「究極の商売」を突き詰め自身と誇りを胸に前進していく

安田:業界はいま、大変難しい局面に突入しています。私は仏壇仏具の販売を究極の商売だと思っています。仏壇仏具を販売するためには、歴史だけでなく、木材や香の知識も必要です。このすべてを兼ね揃えていなければ、お客様に信頼をいただけません。常に自信をもって商いができるように、これからも精進していきたいです。

インタビュー全文は月刊終活 4月号に掲載されています

掲載記事

特集 仏壇
2023.04.13