株式会社ベガハウス（鹿児島県鹿児島市） 谷 征紀 氏
鹿児島県で注文住宅を手がける株式会社ベガハウスは、2022年10月7日、川辺仏壇の職人集団「To」と共同開発したモダン仏壇「ブッダンファニチャー」を発表した。現代のインテリアにマッチするシンプルなデザインでありながら、伝統工芸品の職人技が詰め込まれた川辺仏壇となっている。同社取締役の谷さんに、仏壇づくりに参入した経緯や商品のコンセプト、今後の展望について伺った。
暮らしに馴染む祈りの場としての仏壇
「仏壇の伝統技術を残したい」という思いがあったと谷さんは話す。
「川辺仏壇の後継者が不足しており、このままでは職人の技術が廃れていってしまうという問題意識がありました。そこで鹿児島県による伝統的工芸品の支援プロジェクトを利用し、川辺仏壇の職人集団『To』と共同で仏壇を開発しました」
20〜30代といった若い世代の仏壇離れを解決したいという思いもあったという。
「私たちは住宅を提案するとき、『お仏壇は計画されていますか？』と必ず聞きます。すると若い方の多くは、『実家に仏壇があるものの、新しい住まいには置きたくない』と答えます。和室や床の間が減っている現代の住宅に、昔ながらの仏壇が合っていないのが要因でしょう。また、若い世代だと、実家にすら仏壇がなかった世帯もあるかもしれません。そういった方たちでも暮らしの中に祈りの場所を設けていただきたいという思いがありました」
若い世代のライフスタイルに合った祈りの場を提供したいとの思いから、仏壇の固定概念にとらわれない「ブッダンファニチャー」が誕生した。
「ブッダンファニチャーと銘打ってはいますが、仏壇ではなく、あくまで祈りの場所を住空間に提案するためのひとつのアイテムだととらえています。ご先祖さまを敬うといった大きな目的がなくても、毎日なにかに祈りを捧げ、手を合わせるという行為には、心を整える作用があります。暮らしの中で日常的に祈るためのアイテムとして、ブッダンファニチャーをご活用いただければ幸いです」
