セレモニージャパン2021 出展企業リポート トレーラーハウスを使った新たな家族葬の形「リゾートセレモニー家族旅行」

株式会社 メモリアホールディングス

今回、最も人目を奪った展示といってもいいだろう、会場に出現したトレーラーハウスは良い意味での大きな違和感を醸し出した。リゾート感覚のお洒落でカジュアルな内装。リビング、ベッド、キッチンなどをはじめとする生活空間は、葬儀会社の展示とは思えない。

一見ロマンチックだが、じつは現実的

実は今回の展示は全体の一部で親族控室に当たるヴィラ棟のみ。実際はこれにセレモニー棟、ラウンジ棟、あるいは安置室棟が加わり、3台のトレーラーハウスを「コの字型」に配置する。「葬儀は故人との最後の家族旅行」というコンセプトを形にした、新しい発想の家族葬会館である。
海や山のリゾート地などにあるトレーラー型のホテルやカフェからヒントを得たもので、 運んで来たらそのまま設置して固定する。しかし、車輪を付けているので建物ではなく車両扱いになる。従って基礎工事が不要。固定資産税も掛からないのがコスト面でのメリット。そして撤退戦略も折り込み済で、通常の葬儀会館よりもはるかに少ない手間とコストで済む。
一見、ロマンやトレンド感、空間デザインや新奇な面白さを追求して生まれたアイデアに見える。しかし、実際はむしろ逆だ、いつか来る撤退時――いわば出口戦略までしたたかに計算して設計された施設なのである。

業界全体への提案・問題提起

「これからは従来のような、マーケットニーズがありそうだから……といった安易な発想で出店すべきトレーラーハウスを使った新たな家族葬の形「リゾートセレモニー家族旅行」株式会社メモリアホ―ルディングス ではありません」
発案者であるメモリアホールディングスの松岡泰正会長はそう語っている。多死社会に突入しているものの、死者数はいずれピークアウトする。経営者は事業継承という問題にも取り組む必要がある。葬儀会館という資産は「負の遺産」にもなり得る。それを見越して今から整理整頓して考えていくべきではないか――そんな考え方がバックボーンとなっている。そして、これはフューネラルビジネスアカデミーのトップを務める同氏が、コロナショックで揺れる葬儀業界全体に向けた新しいビジネスモデルの提案であり、問題提起でもある。

次世代が注目

今回の「セレモニージャパン2021」は、「カフェ&レストラン・ジャパン2021」と同じ会場で行われた。そのため、そちらの出展者や来場者も多数この展示に注目した。概して若い世代の人たちで、その反響は葬儀業界の人たちのそれを上回るほど大きかった。
まさか葬儀社の展示とは思わなかったと驚きつつ、「家族や親しい友人たちとこんなところでお別れはできたら素敵だ」――そう語る人が多かったという。奇抜にも映るトレーラーハウスでの葬儀は、次世代の喪主が求めるライフエンディングスタイルを先取りしているのかもしれない。
メモリアホールディングスでは、8月・9月の全友引に、岐阜県大垣市で稼働している同施設の現地見学会を実施している。詳しくは下記より確認。

月刊仏事 8月号に掲載されています

掲載記事

特集 葬儀
2021.09.27