株式会社 吉相
都市部の葬儀場は遠い。参列を諦めてしまう人たちのために株式会社吉相が考え出した手段。それは「参列者が葬儀場まで足を運ぶのでなく、葬儀場が参列者のいるところまでいけばよい」そのアイデアは画期的だ。
どこでも葬儀が可能
内部は16畳程のスペースがあり、キャパシティは20名。小さな家族葬ホールとほぼ同じ大きさである。カメラが設置されており、中に入らなくても車外のモニターで葬儀の様子を見ることができる。屋外でも開けるので密にならず、コロナ禍でも感染リスクは低い。「この3日間は見学者・相談者がひっきりなしで大忙しでした。新規参入者も着目しています。会館を建てるよりも車1台のほうが起業しやすいですからね」
取材に応じてくれたのは販売部課長の西岡修平氏。車両は5.5トン車。大型車両の運転免許が必要。岡山県笠岡市から東京までこの車で丸一日かけて高速道路を走ってきたという。
高いニーズとコストパフォーマンス
吉相はもともと墓石の会社で、葬祭業に進出したのはまだ3年前。市内の老舗の葬儀社が撤退したため、そこが所有していた葬儀会館ごと買い取った。しかし人口が集中している都市部は競合が多数あり飽和状態。かといって過疎地に会館を建てても採算が合わない。それなら車を葬儀場にしてそこまで行けば喜んでもらえるのではないかと考えた。
実際にやってみて困っている地域が想像以上に多いことが判明。それらを回れば1台の車で複数の会館を作るのと同じ効果があるので、コストもはるかに安い。
移動葬儀車の特徴
ただし、移動葬儀車は都市部には向いてない。必要性が低いし、駐車場を見つけるのが大変だからだ。田舎の人口の少ない地域だからこそ力を発揮できる。
実績はまだ数軒だが、同社では岡山県内でこの地域はここで、とすでに85ヵ所をチェック済みで現在も増やしていっている。場所は個人所有の空き地、寺院の駐車場、集会所などの駐車場で、交渉を済ませ承諾もいただいてるという。そしてそれらの場所には実際にこの車で訪れ、見学会を行っている。見学会は自然に事前相談会になり、すでに予約が多数入っている。
市場ニーズとぴったりマッチした葬儀車「絆」。地域の葬儀ビジネスに新しい風が吹き始める。