先見の明で、ピンチをチャンスにかえる

エンドユーザーにいいものを届けたい一心で、海苔業界から葬儀業界へ。「感動から感謝をテーマに生命の礎・家族の絆・生涯の証を享有するオンリーワンのご葬儀を目指す」。コロナ禍でもピンチをチャ ンスにかえる理事長 大島政則氏は新規出展や医葬連携にも注力している。

セレモニーサポート・オンリーワン協同組合/とつか葬斎館(神奈川県横浜市)

理事長 大島政則氏
理事長 大島政則氏

海苔業界から葬儀業界へ

「21歳での海苔メーカーの会社を立ち上げ、返礼品で葬儀業界とお付き合いがありました。葬儀社の高額なマージンに疑問を抱いていましたが、私たちはエンドユーザーではなく、担当者へ配慮するような時代でした。本当にいいものを売るために、担当者ではなくエンドユーザーに目を向けたかった。そして、返礼品がもっと大きな市場になることでより良い取引ができるのではないかと思うようになりました。そこで、葬儀関連業社30社を集め、共済制度を設けて、協同組合をつくりました。いいもの・いいサービスをお届けするために、自ら葬祭業を設立しました。環境が整うことで、お客様により良いもの(返礼品)をお届けできるようになり、返礼品をもらったお客様から商品の購入に関する問い合わせをいただくことも増えました。いいもの・いいサービスを届ける一心で葬儀社として邁進しています」

現場のスタッフたち

ピンチはチャンス~コロナ禍に優良物件と出会う~

2014年に横須賀にて『中央葬斎館』をオープンさせ、2021年6月には4カ所目となる『とつか葬斎館』をオープンさせた。
「私は常にピンチはチャンスだと思っています。コロナ禍にこの物件(とつか葬斎館)と出会いました。以前は条件が合わず、うまくいかないことも多く、このような物件は全然見つからなかった。とつか葬斎館は元々ファミリーレストランがあった場所です。ピンチな時代だからこそ、この物件と出会えました。今後も新規出展を考えています。先を見据えて、いま動き続けることが大事です。ある社員はこの2年で、今まで取引が難しかった大きな病院へ赴き、コロナ感染者の積極的な受け入れを伝え、その結果病院のコロナ感染者の葬儀は全て弊社が受け社会貢献の一助を担っております。苦しい時ほどチャンスはあります。それは最大の見極めだと思いますし、経営者にとって一番大切な先見性と覚悟が重要だと思います。リスクはありますが、それは仕事の醍醐味かもしれません。そのような活動を社員一人一人が自ら興すことで成長に繋がっているものと思います」

  • とつか葬斎館
  • エントランス

医葬連携の実現

「医療業界のシステムが変化したことにより、これからは病院で亡くなる方が減っていく時代になります。弊社が主軸にしていた二次・三次救急医療機関は特にその影響を受けることになります。今後は病院ではなく自宅で亡くなる人が増えていくことを踏まえると、訪問看護が支えて、はじめて地域の医療が成り立つようになる。私の恩師はそういった話を度々してくれて、地域医療の充実を切望していた方でした。しかし、恩師は志なかばで亡くなってしまいました。私はその想いを形にしようと会社を引き継ぎ、そのなかで医葬連携を強く感じ、動き始めました。訪問看護は病院と違い、ほとんどの場合、ひとりの患者に対して同じスタッフが訪問して診ていきます。そのため、一人一人と向き合う時間が多いのです。当然、最後にどんな送り方をされたのか気になりますよね。現場からの疑問の声により、医葬連携の必要性を強く感じました。命を救う仕事と、葬儀の仕事は理解し合えない部分はあると思いますが、導線さえ整えば、想いをひとつにできると信じています。将来的にはもっと大きな枠組みで医葬連携を実現できればと考えています」
連携している医療機関や在宅診療の方に対して、弊社のスタッフが24時間体制で病院へ赴き、エンゼルケアを行うサービスにも取り組んでいる。

  • さくらホール
  • なごみ葬
  • バスルーム
  • 金木犀(会食室)調理場を設けてできたての料理を提供

月刊仏事 11月号に掲載されています

掲載記事

葬儀
2021.11.25