株式会社永田屋(愛知県岡崎市)
代表取締役会長 永田正也氏
愛知県エリア仏壇店最大シェアの「永田や佛壇店」が、「自分に合った祈りのかたち」をコンセプトとした新業態店舗を企画。2021年4月22日には、名古屋市のイオン守山店に、1号店となる「永田やイオン守山店」をオープンした。新店舗には仏壇仏具以外の雑貨や書籍なども展示されており、仏壇仏具に興味のない人でも気軽に楽しめるような店舗空間が広がっている。「皆さまに気軽にお立ちよりいただけるお仏壇店を目指したい」と語る同社代表取締役会長の永田正也さんに、新店舗出店の狙いや今後の展望について話を伺った。
新店舗出店の狙い
2020年に創業120周年を迎えた「永田や佛壇店」が、新店舗としてSC店「永田やイオン守山店」をオープンした。新店舗出店の狙いは主に以下の3つだという。
①ターゲット層の拡大
仏壇・仏具を必要とする人だけでなく、ショッピングセンターに訪れたすべての人をターゲットとした店づくりを行う。中でも、「都会型の生活をしており、仏壇・仏具を自宅に置くイメージのない人」「30~50代の供養を必要としている人、もしくはそれにまだ気づいていない予備軍」をメインターゲットとする。
②「自分に合った祈りのかたち」の提案
現代生活にフィットした家具調の仏壇や、ペット供養、手元供養といった現代的なライフスタイルに合った「祈りのかたち」を提案することで、「これなら我が家にもおけるかも」と思っていただけるような祈りのかたちとの出会いを提供する。
③仏壇仏具以外の商品やサービスの提供
仏壇仏具だけでなく、アロマをはじめとする雑貨や、終活情報を中心とした関連書籍を展示するほか、終活について相談できるコンシェルジュカウンターを設置。また、人通りの多い店頭スペースにあえて雑貨類を配置することで、仏壇仏具に興味がない人でも気軽に立ち寄れるような店づくりを目指す。
なお、雑貨については、アロマで有名な「生活の木」をはじめ、金箔の「箔一」、印傳屋の「いんでん」など、雑貨分野で人気を博す各種メーカーと連携。また、コンシェルジュカウンターについても、永田やがフランチャイズ契約を結ぶ葬儀社「株式会社ティア」と一部提携することで、葬儀も含めた終活全般の相談に対応する。
今後は、2025年までに東海地方で20店舗の出店を目指すほか、首都圏への出店も検討中だという。とはいえ、永田さんは店舗拡大についてはあくまで慎重な構えだ。
「まずは新店舗について一つひとつ検証していくことが大事だと思っています。その上で、あまりスピード感は出しすぎず、じっくりと準備を進めていきたい」
既存店舗との相乗効果を高める
雑貨メーカーや葬儀社と連携するなど、近年他業界と積極的にコラボレーションを展開している永田や佛壇店。一方で、「今後は永田や既存店舗との連動にもより力を入れていきたい」と永田さん。
「イオン守山店で取り扱っている仏壇は、既存店舗で取り扱っている仏壇に比べてサイズが小さいうえ、数も少なく、品揃えも充分だといえません。しかし、お客さまの中には、従来の大きいサイズの仏壇を求めている方もいるでしょう。だからこそ、当店から5キロ圏内にある春日井店や、一宮本店との連携が欠かせません。仏壇に興味をもっていただいたお客さまにさまざまない祈りのかたちを提供できるよう、永田や同士の相乗効果を高めていくのが今後の課題です」
また、一人勝ちが難しい厳しい時代だからこそ、仏壇仏具業界全体で手を取り合ってボトムアップしていきたいと話す。
「弊社が一番大事にしているのは、仏壇仏具を通してご両親、ご先祖さまを敬う感謝の気持ちを表現することです。そして、たとえ昔のように大きく立派な仏壇ではなくても、家のなかで手を合わせる場を提唱し続けることが、我々仏壇仏具業界の大切な使命だと思っています。ぜひこれからも業界全体で、おこがましくならない程度に、大切な人に手を合わせることの大切さをソフトに伝えていければ幸いです」