長野県小諸市 小泉 俊博市長にご登壇いただいた。この度、『終活に係る業務の支援に関する協定』を締結し、新たな一歩を踏み出した。北国街道の宿場町として歴史ある街並みがいまも残る小諸市は、小諸版ウェルネスシティを目指し、最期まで希望ある人生を生きるために、終活に力を入れている。
終活支援に力を入れようと考えたきっかけ
清水:終活支援に力を入れられた経緯を教えてください。
小泉:小諸市の高齢化率は2022年4月時点で32.97%となり、他の自治体と同様に高齢化が進行しています。市内の一人暮らしの高齢者や身寄りのない高齢者の支援に対して様々な工夫を凝らしてきました。高齢福祉課と市民課では、市民の方々から、頼れる親族がいない心配や子どもたちに迷惑をかけたくないので元気なうちに準備しておきたいといった相談を受けることが多く、終活の必要性を強く感じていました。窓口での終活対応はもちろんですが、出前講座の開催や人生会議のパンフレットを配布しています。
課題や解決のための取り組みと成果
清水:自治体によって抱える課題は多様化しており、解決法も様々ですが、小諸市ではどのような課題を感じていますか。また、どのように解決されてきましたか。
小泉:平均寿命が延びるなか、できる限り健康で生きがいをもって生活していただきたいという想いから、小諸市では「健康達人区らぶ」として、社会福祉協議会が主催する集まりや地域の介護予防事業に力を入れています。コロナ禍の3年間でも、民政員の方々をはじめ、地域の担当の方々に、コミュニケーションが途切れないように工夫していただいたことで、2022年3月時点で、要介護認定率は13.3%(全国平均18.3%)という結果がでています。
冷蔵庫で保管「あんしんカプセル」
清水:医療に関しては「あんしんカプセル」というものを配布されているそうですが、詳しく教えていただけますか。
小泉:「あんしんカプセル」は一人暮らしの高齢者や障がいのある方など、見守りが必要な方を対象に、安心安全の確保を目的として緊急連絡先や医療情報を書き込んだカプセルです。カプセルは、毎日開ける冷蔵庫の中で保管してもらいます。もしもの時に、救急隊員の方が冷蔵庫を開ければ情報が手に入りますし、災害時は自分でカプセルを持って避難することもできます。