スゴロクやオリジナル体操で楽しい終活を岡崎市が仕掛けるユニークな高齢者支援の取り組み

2023年大河ドラマの主人公・徳川家康の生誕の地としても名高い愛知県岡崎市は、健康長寿に向けて独自の高齢者サポートを展開している。「長い第二の人生を、自分らしく楽しく」というテーマをモットーに掲げる岡崎市のユニークな高齢者サポート施策について取材を行った。

岡崎市 福祉部長寿課 予防係 係長 山本 真由美氏
岡崎市 福祉部ふくし相談課 地域支えあい係 主査 早川 小まり氏

自分たちで抗重力筋UPを目指す「岡崎ごまんぞく体操」の普及活動

山本:「岡崎ごまんぞく体操」とは岡崎市が徳川家康生誕の地ということで、「五万石」をもじって、「ご満足」体操という名前にしました。高齢者の方が筋力アップのために、毎日コツコツと取り組める内容になっています。
もともとは全国で実施されている高齢者向けの体操をアレンジしたもので、重りを使って6種類の体操を行っています。週に1回、地域の会場に集まって、高齢者の方が一緒に取り組む内容になっております。また、それ以外にも、自宅で毎日コツコツと取り組むことで、加齢により衰えがちな筋力をアップさせる効果があるそうです。

岡崎ごまんぞく体操 岡崎市ホームページより

口腔機能の維持向上&認知症予防にも役立つ「岡崎モグザえもん体操」

山本:「岡崎モグザえもん体操」はオーラルフレイル(口腔フレイル)を防ぐために地域で実施されている体操です。高齢になるとどうしても飲み込みが悪くなったり、むせやすくなるので、誤嚥性肺炎などを引き起こす原因になります。いくつになっても自分の歯で美味しく食事が食べられるように、あるいは、肺炎予防のために考えられた体操です。
自宅でコツコツと口周りの筋肉や肩周りを動かして、オーラルフレイルを防ぐための内容になっています。「岡崎モグザえもん体操」を実施することで、確実に舌の動きが良くなった、口腔機能が改善したというデータがしっかりとれている体操です。

岡崎モグザえもん体操

※「オーラルフレイル」歯や口の機能が衰え、「話しにくい・飲み込みにくい・むせる・こぼす」などが起こる状態のこと。

ゲームとして楽しめる終活として大好評「終活スゴロク」

早川:高齢者が増えるということは、みんなで何かできるかもしれない。高齢者の方にたくさん笑顔になってもらいたい。そのためにどうしたらいいかというアイデアを集めるために「アイデアソン」というものを開催しています。
堅苦しく話し合いをするよりも、ゲームなどで楽しく終活を考えられた方が取り掛かりやすいのではないかというアイデアが出て、じゃあ終活についてのゲームを作ろうということで「終活スゴロク」が生まれました。
「終活スゴロク」はみなさんにとても好評で、すごろくの中で認知症になったり、オレオレ詐欺に引っかかってしまったりしますが、そういったことをどう解決するかなどをお話ししながら、対策として考えられる場になりました。
「終活スゴロク」が「人生ゲームみたいだ」という意見が出たので、人生ゲームを販売されているタカラトミーさんにお話をしたところ、本物の人生ゲームにしてみてはどうかと言っていただき、いま制作を進めているところです。人生ゲームとして終活をもっと広めていければいいと考えています。

岡崎市オリジナル 終活スゴロク

市民の皆様・視聴者の皆様へメッセージ

早川:「終活」という言葉は、どうしても最期に向けた準備というようなマイナスのイメージで受け取られてしまっています。しかし、30年、40年ある第2の人生を、いかに自分らしく楽しく過ごしていただけるかという点を岡崎市は重要視しています。マイナスではなく、プラスに捉えてほしいなと思って、このような取り組みを行っています。
ひとりで考えるとどうしても不安に思ったり、わからないことが多くなってしまいます。地域包括支援センターやケアマネージャーのような専門職だけでなく、近隣の方や友人の方、私たち行政も含めてどなたかに気軽に相談いただいて、まず少し始めてみるということをお手伝いできるように、応援していけたらなと思っています。

インタビュー全文は月刊終活 12月号に掲載されています

掲載記事

特集 自治体
2022.12.08