千葉県習志野市における高齢者支援の取り組み。「健やかに暮らし、やさしさで支え合うまち」を目指して。

 2023年8月25日に、株式会社鎌倉新書との間で「終活に係る連携に関する協定」を締結した千葉県習志野市は、千葉県北西部に位置する人口約17万人の都市だ。同市では、高齢者がいつまでも住み慣れた場所で生活できる社会へと前進するために、3年ごとに「習志野市 光輝く高齢者未来計画」を策定して、さまざまな高齢者支援を行っているという。
 その最新版である「習志野市光り輝く高齢者未来計画2021」や、同計画に基づく具体的な高齢者支援の取り組みについて、同市健康福祉部の小平修部長に話を聞いた。

「習志野市 光り輝く高齢者未来計画2021」でイキイキとした生活を

 習志野市では、高齢者福祉にかかわる計画として、1993(平成5)年度に、1994(平成6)年から1999(平成11)年度を計画期間とする「習志野市高齢者保健福祉計画」を策定しました。その後、2000(平成12)年から「介護保険制度」が施行されたことにともない、「介護保険の事業計画」と、すでに計画されていた「高齢者保健福祉計画」を一体のものとして策定することとして、現在にいたっています。直近では2020(令和2)年度に、2021年(令和3)年から2023(令和5)年度を計画期間とする「習志野市 光り輝く高齢者未来計画2021」を策定しています。
 この「習志野市 光り輝く高齢者未来計画2021」では、高齢者がいつまでも自宅などの住み慣れた場所でイキイキとした生活を続けられるよう、「医療」「介護」「介護予防」「住まい」「生活支援」などさまざまな高齢者施策を展開し、取り組んでいます。

「高齢者相談センター」を設置し、「認知症サポーター」で正しい理解を

 施策の1つ目は、高齢者向け福祉施設の整備です。
 習志野市では2023(令和5)年度までに、「認知症の高齢者グループホーム」を2施設、そして「看護小規模多機能居宅介護事業所」1施設の整備に取り組む予定です。このうち、「認知症高齢者のグループホーム」1施設については、すでにこの3月に開設されています。
 施策の2つ目は、「高齢者相談センター」の設置です。
 習志野市では、地域の身近な相談窓口として、市内5カ所に「地域包括支援センター」を設置しています。名称は市民にとって親しみやすく、より気軽に相談できる場となるよう、「高齢者相談センター」という名称に統一しています。「高齢者相談センター」には保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員など専門職が常駐し、高齢者からのさまざまな相談に丁寧に対応しています。
 また習志野市では、この高齢者相談センターに認知症地域支援員や生活支援コーディネーターを配置するなどして、機能の充実を図っています。
 そして施策の3つ目は、認知症の方が暮らしやすい街づくりへの取り組みです。
 習志野市では「認知症サポーター養成講座」を開催するなど、認知症への正しい理解と地域の見守りを促進しています。また、「認知症サポーター」がいる事業所を市に登録してもらい、認知症に関する知識や理解を有する「認知症サポート事業所」として公表をしています。
 このほか、世界アルツハイマー月間である9月には毎年、「オレンジドレスアップ企画」として、市庁舎内で認知症支援のシンボルカラーであるオレンジ色を基調とした装飾や認知症をテーマとした展示、そして認知症シンポジウムなどの開催を通じて、認知症の人やその家族が暮らしやすい街づくりに努めています。

多くの高齢者が「公式LINE」にも登録

 習志野市の公式LINEは、高齢者を含め多くの市民に活用していただいています。たくさんの市民が日常的に使用しているLINEを入り口として、いつでも、どこでも気軽にさまざまなサービスを受けられる環境を主としても提供をしています。
 公式LINEの登録者は全体で約9万人で、市全人口のうち51.5%の方にご登録いただいていることになります。高齢者の方の登録も大変多く、受信設定者総数のうち、60歳以上の方が37%を占めている状況です。
 さらにこの公式LINEを高齢者の方により活用していただけるように、「スマートフォンの基本とLINE活用講座」を、2023(令和5)年度より実施しています。現在すでに12回開催しており、今後も年度後半に13回の開催を予定しています。現在まで、高齢者の方約140人に受講をしていただいております。

習志野市として、市民一人ひとりの希望や不安に寄り添った行政サービスを展開

 今後、2025年問題、その先の2040年問題など、さらに高齢化が進行していきます。そうした事態に対して、市民のニーズやお困りのこと、不安・心配なことは多様化されていくと想定しています。行政としては、個々の不安や市民一人ひとりのご希望に寄り添った行政サービスを展開できるように準備をして、みなさまにお知らせしていくことが必要になると思っています。
 今後もいろいろご意見いただく中で、しっかりと高齢者施策を展開していきたいと思います。

インタビューの全文は月刊終活 10月号に掲載されています

掲載記事

自治体
2023.10.26