「洋服の青山」などを展開する青山商事株式会社の青山理氏。フォーマルウェアへのこだわりと時代に合わせたサービスについて伺った。
フォーマルウェア・礼服へのこだわりと今後の展望
小林:これまでの歴史の中でフォーマルウェア・礼服はどのような位置づけの商品でしょうか。また、今後はどのように展開されていきますか。
青山:青山商事は来年で60周年を迎えます。フォーマルウェアはスーツと並び、主力アイテムのひとつであり、全国で一番シェア率の高い商品です。特に葬儀は緊急を要するため、急であってもサイズが合う、デザインやシルエットが好みに合うといった、その方に合わせたものを間に合うように提供していきたいと思っています。青山に来れば、シャツやネクタイ、数珠などもすべて揃い、“本当にあってよかった”と思っていただけるような店にしていきたいです。
インターネットの普及・デジタル社会における営業戦略
小林:インターネットの普及やデジタル化について、お客様との接点をどのように工夫されていますか。
青山:デジタルネイティブといわれる20代30代は、ネットで検索して商品知識を得てから来店される方も多くなっています。そのため、SEO対策を強化し、検索での接点を増やしています。当社の若年層向けビジネスウェアブランドである、「ザ・スーツカンパニー」ではザ・スタイルディクショナリーというコンテンツを提供しています。フォーマルな場や結婚式でどのようなスタイリングをしたらいいのかなどを紹介しています。
紳士服業界におけるDX化への対応策
小林:DX化については、具体的になにをされていますか。
青山:「ザ・スーツカンパニー」では「スーツスクエア」化を進めています。「スーツスクエア」とは、「ザ・スーツカンパニー」、「ユニバーサルランゲージ」、「ユニバーサルランゲージメジャーズ」、「ホワイト ザ・スーツカンパニー」の4ブランドを一つに集約した店舗形態のことです。従来であれば100坪の店舗が4店必要ですが、デジタルを用いることで、50坪の一つの店舗にします。品揃えを減らさずにデジタル上で買い物をしていいただくことで、人件費や家賃を合理化し、商品の回転率をアップさせています。
2023年の展望と今後のチャレンジ
小林:青山商事様の2023年の展望と、今後に向けた課題をお聞かせください。
青山:コロナ禍の初年度(2020年度)は売上(単体既存店)は2019年度比で約60%になりましたが、2021年度は約70% まで回復させることができました。今年はコロナ禍前の80%を目標としています。コロナ禍で市場の縮小が加速したため、市場に合わせて店舗規模や商品の品揃えなど、変化に対応するために様々なことを考えさせられました。その経験を活かし、今後も市場動向を注視しながらも、常に一歩先を考えて向上していければと思っています。
小林:青山さん、ありがとうございました。