理想的な自治体支援の実現に向けて中小企業の町、大川市の終活への取り組み

福岡県大川市には、中小企業の町ならではの終活のかたちがあった。終活をより身近に、ポジティブにしていくために終活協定を結び、積極的に新しいことに取り組む福岡県大川市 市長 倉重良一氏に話を伺った。

日本一の家具産地 福岡県大川市

小林:本日は福岡県大川市の倉重良一市長と対談をさせていただきます。よろしくお願いします。

倉重:大川は日本一の家具産地であります。300社ぐらいの家具メーカーが、大川市とその周辺に集積しています。木の種類・ストックで言えば、世界一材料が揃っている町です。

大川市が高齢者の支援に力を入れるきっかけ

小林:本日大川市と鎌倉新書が「終活協定」を結ばせていただきました。まず、市長が高齢者の支援に力を入れようと思ったきっかけをお聞かせいただけますでしょうか?

倉重:高齢化率が非常に高いというのももちろんありますが、うちの町の特徴は家具インテリア産業を中心に中小企業がたくさんあることです。つまり、自営業者あるいは中小企業の経営者の方の割合がかなり高く、定年がない仕事に就いている方々がたくさんいらっしゃるということです。
「終活」の話題になると企業の承継問題まで出てきますし、また、仕事がとても生きがいで感じている社長さんたちも多いので、あまり「終活」に対してポジティブなイメージをもたれていないことが現実としてたくさんあります。
ただ、ご家族や社員の方々は、先々どうしていくのかという方向性を整理をしてほしいなと思ってらっしゃいますので、なるべくポジティブな明るいイメージで「終活」をみなさんのもとに届ける、ハードルを低くする活動、団塊の世代の方々が後期高齢に入っていかれてる今、うちの町としては必要だと考えています。

大川市が新しい取り組みに積極的に挑戦する理由

小林:大川市では公式のLINEを導入したり、民間企業さんと提携してDXを推進されています。このような新しい取り組みには、市長のお考えが反映されていらっしゃるのでしょうか?

倉重:そうですね。大川市は人口が32,500人程度となり、自治体の規模としてはかなり小さいです。ただ、そこで暮らしていかれている市民のみなさまに、サービスをしっかり提供するには、自治体だけの力だけでは足りません。DMM.comさんをはじめ民間のみなさまの知恵と力をお借りする方が効率的ですし、効果的です。
なにより、職員のみなさんが民間の企業の人と一緒に働くことで、かなり刺激をもらってくれているのではないかというところにも期待しています。

事前の終活相談・整理でより人生を楽しく

小林:最後に今回ご覧いただいている一般の方や市民や企業の方、他の自治体の方々に、市長から一言いただけますでしょうか?

倉重:私のような立場の自治体の市長さんや町長さんも、ご不幸があったときにお葬式にかなり行かれているかと思います。突然亡くなるようなことがあると、残された家族の方々はその後の生活に非常にご苦労されています。
「終活」とは極めてセンシティブなものではありますが、自分と大切な人のために、事前によく考えて相談をしたり整理をしながら、みなさんの人生がより楽しくなればいいなと思います。ぜひこういう取り組みが、広まってほしいと思います。

インタビューは月刊仏事 9月号に掲載されています

掲載記事

特集 自治体
2022.09.15