葬儀で泣くことが仕事? 実は世界各国で古代から続く「泣き女」の風習【今さら聞けない終活豆知識vol.61】

       
今さら聞けない終活豆知識 終活
2026.02.27

「泣き女」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。葬儀の際に外部から招かれ、文字通り「泣く」役割を担う「女性」のことを指しますが、日本ではあまり馴染みのない存在かもしれません。今回は、世界各地で見られる葬儀の風習「泣き女」についてご紹介します。

写真出典:PIXTA

古代から葬儀に必要とされてきた「泣き女」

「泣き女」は職業の一種です。具体的な仕事内容としては、葬儀に参列し、出棺の際などに率先して泣くこと。しかし、ただ泣くのではなく号泣、慟哭と表現されるほどに声をあげて泣き叫ばなくてはなりません。悲しみを表現することで、ショックのあまり泣くに泣けない遺族や参列者の涙を誘う役割を果たします。

「泣き女」の風習が多く見られるのはアジア圏が中心。背景には、韓国・台湾・中国などで根付く儒教の教えがあると言われています。「葬儀で流される涙が多いほど故人の徳が高い」という考え方が影響しているのでしょう。また、泣くという行為が悪霊払いになるからだという説も伝えられています。

実は、日本にもかつては「泣き女」が存在していました。「古事記」には泣き女と思われる記述があることから、古代から連綿と続いていた風習だったことがしのばれますね。時代と共に廃れてはいきましたが、地域によっては戦前までおこなわれていたという記録が残っています。

また、アジア以外にも「泣き女」と似た職業があります。古代エジプトの壁画には、墓に向かうミイラを見送る泣き女が描かれていました。イギリスには尊い身分の人が亡くなるときに現れて泣くという妖精「バンシー」の伝承があり、人間の「泣き女」がバンシーの化身として葬儀に参列することで、故人の名誉を高めたそうです。

古来より世界中で散見される「泣き女」の存在は、泣くことで故人を悼み、精一杯送り出そうという人々の気持ちの表れなのかもしれません。心静かに偲ぶことも尊いものですが、素直な涙もまた、亡くなった方への手向けになるのではないでしょうか。