病気のことで悩まない。そんな未来をかなえるために。テクノロジー視点で認知症の予防に挑む。

高齢化が進む日本にとって、避けて通れない課題となっている認知症の予防対策。そのような中で、テクノロジー視点で認知症予防に取り組んでいるのが、医療介護を中核に事業を展開する株式会社 iMAReだ。株式会社 iMARe 代表取締役社長の岩館氏に、取り組みの内容や未来のビジョンについてお話を伺った。

株式会社iMARe /代表取締役 岩館 正了 氏

認知症リスクを科学的に検知する画期的なシステムの開発

小林:今月の月刊終活Webの特集のお題は「認知症」です。高齢化が進む日本において、認知症は大きな社会問題です。この課題に取り込まれている株式会社iMAReの代表取締役社長の岩館様と対談させていただきます。よろしくお願いいたします。

科学的知見と幾度もの検証に基づいた新時代の「認知症予防サービス」の開発

小林:事業として進められとしている血液、尿、爪から検査することで認知症が検査できるサービスの具体的な内容やテクノロジーの部分について聞かせていただけますか。

岩館:まずは医師が執筆した医学的な文献をもとに、その検査値をどう解釈するのかというデータベースを作成して、そのデータベースを、例えば生命科学の研究者や医師がそれを参照してどう解釈するのかというアルゴリズムをまず作りました。そのアルゴリズムに血液や爪の検査の値を入れると、その方の対象の特性に応じて、いくつかの分類分けができます。その分類ごとに改善すべき生活習慣のメニューがAIから提案されます。その提案されたメニューに基づいて我々のようなケアスタッフが生活習慣の改善の指導をしたり、運動に取り入れることをアドバイスしていきます。

小林:このようなサービスを使うことで、終活のことを考えるきっかけになるのかもしれませんね。

岩館:なるほど。確かにご自身の身体の状態はこれで可視化できますので、病気になる前の段階として、このままいくとこういう病気になる可能性があるという早めの気づきがあって、その段階で終活も同時に考えられるようなことはあるかもしれません。病気になってしまってから終活だと、病気の不安にくわえて、さらに大変な思いをすることになりますから。

画期的なサービス開発を行う岩館社長の原動力

小林:社会課題を解決しようとすることはすごくパワーや苦労があると思いますが、社長のこの原動力はどこから出てくるものなのでしょうか?

「労働力人口の減少」という社会問題の解決 高齢者が要介護状態にならない仕組みづくり

岩館:今の日本の社会的な背景があると思うんですけど、要介護状態になる原因の1位が認知症、2位が脳卒中です。特に認知症の患者さんというのが今現在だいたい500万人から600万人ぐらいいて、2050年には1000万人になると言われています。
加えて、いわゆる働きながら親の介護をする「ビジネスケアラー」の人達が2030年には318万人に達することになるという政府の試算も出ています。その方たちの離職や労働生産性の低下に伴う経済的な損失は、2030年代には9兆円を超えると言われています。経済産業省がこのままだと経済の維持が困難だと危機感を抱くレベルです。
さらに2025年から2040年までの間に公的保険で賄われる社会保障費の負担が35%増加するという問題もあります。このいわゆる日本の医療、介護、経済制度の破綻を防ぐ意味でも認知症をはじめとした慢性疾患の予防や、要介護状態にならないような予防をすることは社会的な仕組みが絶対的に必要だと思ったのが大きな原因理由になります。

iMAReの将来ビジョンと終活業界とのシナジーの可能性

小林:貴社は様々な事業を展開されていますが、目指すべきミッションビジョンや、今後このようなことを進めていきたいという将来の展望はありますか?

ヘルスケア業界と終活業界 人々がより良く健康に生きられる社会を

岩館:ちょっと俯瞰してみると、人は不幸せより幸せに生きたいという方がほとんどだと思います。幸せの定義は人それぞれですが、幸せになるためには2つの大前提があります。心身ともに健康でいることと、できるだけ不自由がないことです。我々のサービスを通じてその2つを支えて人々が幸せな人生を過ごしていく、そんな未来を思い描いています。人は死亡率100%で誰しも必ず亡くなります。そう考えるとどうやって生きていくのかも大事ですが、最終的にどう自分自身が死ぬかについても考える必要があると思っています。
その中でこの終活業界そのものが活性化するということは、人々が自身の死と真剣に向き合っているという意味になります、死と真剣に向き合うことが、まさに生きることなので、どうやって生きて幸せになるのかについて考える大きなきっかけになると思います。みなさま方の終活業界と私たちのヘルスケア業界は非常に相性が良く、切っても切り離せない関係です。人々の幸せをいかに達成していくのかということを考え、お互いの業界でシナジー効果が得られるような関係になれるといいなと思っています。

小林:非常に参考になりました。私自身も心から応援したいと思っています。今日は本当にありがとうございました。

インタビューの全文は月刊終活 7月号に掲載されています

掲載記事

終活
2023.07.25