「物忘れがひどくなった」「人の名前がさっと出てこない」など、年を取ってくると気になる記憶力の衰え。対策としては“脳トレ”を取り入れるなどさまざまな方法がありますが、まずは日々の食事習慣から変えてみてはいかがでしょうか? 今回は記憶力の向上が期待できる食材を紹介します。

DHAを効率よく摂取するには何と食べるのが正解?
記憶力に関する栄養素で代表的なのは、情報の伝達を促進する「DHA」と「EPA」。サバやイワシなどの青魚に豊富に含まれていることが有名ですが、火を通すと減ってしまうためできれば生で食べるのが理想的です。
サバ缶などの缶詰も製造の過程でDHA・EPAを多く残しているので、上手く取り入れると良いでしょう。また、DHAとEPAには酸化しやすいという特徴もあります。そのため、抗酸化作用のある緑黄色野菜や柑橘類と一緒に食べるのがおすすめ。
「脳のエネルギー源」といえばブドウ糖です。しかし、でんぷんをブドウ糖へ分解する「ビタミンB6」と、ブドウ糖をエネルギーに変える「ビタミンB1」がないと脳へのエネルギー補給はスムーズにできません。でんぷん質を多く含む米などの穀物類や芋類などと共に、ビタミンB6、B1を含む食材を摂取しましょう。ビタミンB6はサケなどの魚介類やゴマなど、ビタミンB1は豚肉や大豆などに含まれています。
卵黄や大豆製品に多く含まれる「レシチン」も記憶力の向上に欠かせない成分。レシチンは神経伝達物質の1つ「アセチルコリン」の原料となります。記憶力だけでなく集中力の向上にも期待できるため、意識して取り入れたいですね。
製菓メーカー・明治と愛知学院大学が2014年におこなった共同研究では、チョコレートが「BDNF(脳由来神経栄養因子)」を増加させるという研究結果が発表されました。カカオに含まれるポリフェノールが海馬の活動を促進し、記憶力アップにつながるそう。最終的には認知症を予防できる可能性もあるということで、大きな期待が寄せられています。
日々の食事からできる物忘れ対策。今日から少しずつ、記憶力アップ食材を意識して選んでみてはいかがでしょうか。
また他の栄養素や成分との組み合わせによっても、ビタミンB1の摂取効率が変化。特に注意すべきなのは「チアミナーゼ」と呼ばれる酵素です。チアミナーゼにはビタミンB1を分解してしまう働きがあるため、一緒に摂取するのはあまり適切ではありません。
チアミナーゼはワラビやゼンマイといった山菜をはじめ、淡水魚、貝類に多く含まれる成分です。熱を加えることで酵素の働きを弱めることができるので、もし豚肉と一緒に食べたい場合は、チアミナーゼを含む食材にしっかりと火を通した状態にしておきましょう。
ちなみにビタミンB1の吸収を促進する成分としては、ネギ、ニンニク、タマネギなどの香味野菜に含まれる「アリシン」が挙げられます。そのため生姜焼きや牛丼といった料理は、豚肉からビタミンB1を摂取するにはピッタリのメニュー。同じくビタミンB1を多く含んだ玄米などとあわせて献立を考えるのもおすすめです。
健康的な生活に欠かせない栄養素であるビタミンB1。調理法や他食材との組み合わせに注意しつつ、豚肉から効率良く摂取できる方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。