株式会社メモリアホールディングス
経営企画本部 FCコンサルティング部 部長 後藤昌弘氏
トレーラーハウスを使った葬儀ホールは、今年のセレモニージャパン(エンディング産業展)、および、フューネラルビジネスフェアで多くの来場者に鮮烈なインパクトを与えた。
プロデュースしたメモリアホールディングスでは、すでに本社のある岐阜県同内で2カ所稼働させており、利用のない友引の日に現地見学会を開いている。加えて今回は同施設に興味がある、自社でも導入を検討したいという葬儀社に対してウェブによる出店セミナーを開催。「リゾートセレモニー家族旅行」を軸とした今後の
葬儀社経営の展開方法、そして導入メリットについて後藤昌弘氏が講演を行った。
全国の葬儀社に向けてトータルプロデュース
積極的な導入支援
岐阜県大垣市のある西濃エリアを中心に営業するメモリアホールディングスは、昨年来のコロナ禍にあっても収益は上昇、市場価値(単価)も落ち込んでいない。好調に事業を展開する同社が従来の13の葬儀ホールに加え、今年からトレーラーハウスを使った新タイプ葬儀ホール(垂井葬儀会館/大垣西会館)を開始。年内には3番目の施設が新たなスタイルの葬儀を実践する。
同社では全国の葬儀社に向けて、このブランド「リゾートセレモニー家族旅行」を提案し、導入・出店を希望するところを積極的にサポートし、トータルにプロデュースしていく方針を打ち出している。
くつろぎの空間づくりの発展形
同社では早くから今後の葬儀の主流は小規模な家族葬になると見極め、それをいかに充実したものにし、高い付加価値をつけられるかがポイントと考えて事業を展開してきた。
既存ホールも「最後の家族旅行」というコンセプトのもと、故人を見送るために家族が落ち着いてくつろげることを最優先にした施設づくり・空間づくりを行ってきた。「リゾートセレモニー家族旅行」はいわばその発展形であり、ポストコロナの時代を見据えた、従来の葬儀のイメージを打ち破る提案ともいえる。
外観同様、内装はリゾート感覚あふれるお洒落でカジュアルなインテリアで統一。リビング、ベッド、キッチンなどを設えたヴィラ棟(親族控室)の生活空間は、二つの展示会において特に若い世代から注目を集め、大きな反響があった。
リゾートセレモニーの内容
一体化した3棟で構成
同施設はセレモニー棟を中心にヴィラ棟、ラウンジ棟、あるいは安置室棟の3棟で構成される。この3棟のトレーラーハウスを「コの字型」に配置してデッキで連結し、中庭を設けるのがスタンダードなスタイルだ。
この組み合わせ方は土地の形・サイズに合わせてアレンジが可能である。設置する土地の所要面積は約250坪。駐車場のスペースを合わせて約300坪(1,000平方メートル)が目安となる。
祭壇設置用に拡大する床面積
セレモニー棟は標準的なサイズだと祭壇が設置できないため、本体部分からスライドさせて2メートル分の床面積をプラスできる機構を取りつけている。つまり運搬時には普通のトレーラーハウスだが、設置時にはそれより拡大したサイズにして設置・使用できる仕組みになっているのだ。
ヴィラ棟には屋上スペースも設置されており、周囲の景色を楽しみながら会葬者が語らったり、会食することもできる。これもコンパクトな空間をフルに有効活用することによってコミュニケーションの場を広げられる工夫である。
会葬者同士が親近感を感じられる空間
内装・インテリアはそのままスタンダードタイプを選んでもいいし、好みや必要に応じてある程度オーダーメイドすることも可能である。標準的なキャパシティは15~20名程度。現在の家族葬はこれくらいの人数が大半を占めている。もちろん、使い方によってもう少し大人数でも問題ないが、あくまで家族葬・小規模葬に適した施設であり、会葬者が快適に滞在を楽しめ、互いに親近感を感じられる、クオリティの空間になっている。
圧倒的にユニークな外観の中にあるものは?
この数年の間にクローズしたコンビニなどの建物を買い取って、家族葬ホール・小規模ホールに改装するといったケースが増えてきた。その中で同じ程度の規模でも、これまでの葬儀場らしさを一切排した「リゾートセレモニー家族旅行」の外観は圧倒的にユニーク。誰でも思わず中に入りたくなる。すでに稼働している不破郡垂井町や大垣市でも「ここは新しくできたカフェですか?」と尋ねてくる人が後を絶たない。
しかし、このスタイルは単に新規性やユニークさ、若者ウケを狙って考案されたものではない。そこには同社の会長であり、葬儀社専門の経営学を指南する「フューネラルビジネスアカデミー」の学長・松岡泰正氏の、したたかで柔軟性に富んだ経営戦略が練り込まれている。