地域によってこんなに差が? 徳島県に残る一風変わった葬儀の習慣【今さら聞けない終活豆知識vol.57 】

       
今さら聞けない終活豆知識 終活
2026.02.13

冠婚葬祭には地域ごとに特色があり、葬儀にまつわる習慣も例外ではありません。その中でも徳島県には、全国的にはあまり知られていない独特の風習が今なお息づいています。

写真出典:PIXTA

会食を意味する「まな板直し」

葬儀や法要後の会食は「精進落とし」と呼ばれるのが一般的。ところが徳島県では、「まな板直し」という独特の呼び方が使われています。忌明けまで肉や魚を絶っていた遺族が、その間に使わなかったまな板を削り直したことがこの名前の由来だそう。単なる会食ではなく、生活を切り替えるという象徴的な意味を持っています。

「まな板直し」には、法要で供えられた49個の餅を参列者で分け合う習慣も。49という数字は仏教の「四十九日」にちなみ、皆で餅を口にすることで、故人を共に送り出す心を表すものです。

また、「お清め」の方法にも特徴が。火葬場から帰宅した際には塩で清めるのが一般的ですが、徳島県の一部地域には竹で作った小さな馬を跨ぐという風習が残っています。災いを祓い、再び日常に戻るための通過儀礼の役割を持つそうです。

もう一つ、徳島県の葬儀で特徴的なのが「放生(ほうじょう)」と呼ばれる習慣。捕まえていた鳥や魚を逃がす行為を指し、仏教儀の「放生会」に由来します。生き物を解き放つことで故人が徳を積むとされ、冥福を祈る意味が込められているそう。自然への感謝と人の死が結びついた、徳島ならではの文化といえるでしょう。

昔の徳島の葬儀では、納棺の際に針や糸、ハサミを一緒に入れることもありました。これは故人があの世で裁縫に困らないようにという願いを込めたもの。しかし近年は火葬場で金属の副葬品が禁止されることが増え、この習慣は少なくなっています。

徳島県に残る葬儀の習慣は、地域の歴史や信仰が色濃く反映されたものばかり。「まな板直し」といった風習は、いずれも遺族や参列者が故人に思いを寄せ、日常へ戻るための大切な節目を意味しています。葬儀は形式的に見えがちですが、背景にある文化や思いに触れることで、その意味をより深く感じられるのではないでしょうか。