「フューネラルビジネスフェア2024」開催 “パラダイムシフト”テーマに146社が出展

「パラダイムシフト」をテーマに開催された、葬儀ビジネスの展示会「フューネラルビジネスフェア」。今年も業界の課題解決を求めて、また、新しい提案に期待を抱いて、全国から多くの葬祭関連事業者が足を運び、多彩な商品、サービスの展示やプレゼンテーション、そしてセミナーに触れた。どのようなビジネスのヒントが見つかったのか? その概要をリポートする。(取材・文 福嶋誠一郎)

各企業ブースでは、足を止めて説明に聞き入る来場者も多かった。

 横浜みなとみらい21地区の一角にあるパシフィコ横浜(横浜国際平和会議場)。「月刊フューネラルビジネス」を発行する綜合ユニコム株式会社が主催するフューネラルビジネスフェアはその展示ホールを会場に毎年開かれており、今年で第27回目。複数の葬儀供養事業者が集まる大規模展示会としては、日本で最も長い歴史がある。

 今年は「パラダイムシフト[葬儀新時代への第一歩]」というテーマのもと、5月29日(水)・30日(木・友引)の2日間開催。146社が出展し、葬祭事業者を中心に全国から1万2031人が来場した。会場内では29の出展企業プレゼンテーション(無料)、26のシンポジウム(有料)も開かれた。

コロナ禍以前の活気がよみがえった会場

 会場に入ると、さまざまな趣向を凝らした各企業のブースが立ち並ぶ。社名や商品名、ロゴマーク入りのカラフルなTシャツ、ポロシャツを着たスタッフが通路に出て声をかけ、来場者に販促物を手渡す。興味を示してブース内に立ち入った来場者は展示物を見学したり、商品を手に取ったり、説明を聞いたりしながらスタッフと名刺交換をする。そんなシーンがあちこちで見られた。また、会場奥に設置された赤・緑・青、3つのカラーの各ステージでは1日5回、登壇者が入れ替わり、それぞれ30分ずつ熱のこもったプレゼンテーションを行った。

 主催メディアでもある「月刊フューネラルビジネス」は、メイン企画展示として「模擬樹木葬」を設置した。エンディングのトータルサービスを意識する葬祭事業者に向け、樹木葬をアフター葬儀の一押しコンテンツとして提案。美しい緑と花に彩られたコーナーは来場者の関心を集めると同時に、見学に疲れた人たちの息抜きの場にもなっていた。

会場となったパシフィコ横浜の奥には、ヨコハマ グランドインターコンチネンタル ホテルがそびえる。

パラダイムシフトは好機

 葬儀供養業界におけるパラダイムシフトの一例としては、家族葬が「普通のお葬式」と認識されるようになったこと、そして、葬祭業者に対して終活や相続など、エンディング全般のサポートが求められるようになったことが挙げられるだろう。

 こうした利用者の意識・社会状況の変化を的確に捉え、それを踏まえた魅力的な提案や、実践する場合に必要な人材の確保が課題となっていた。

 その現状を受け、今回のイベントでは、人手不足の事業者の雑務引き受け、夜間の電話受付代行やリモート接客、また、ニッチな需要として外国籍の人が死去した際の葬送サービスなどを打ち出す企業も。そしてAIなど、進化したテクノロジーを活用したシステムの提案、SDGsに対応した製品、孤独死問題に対応したサービスなども紹介されていた。社会の変容とともに、業界全体が次世代のステージに移行しつつあることは間違いない。そうした機運を反映して、今年のフューネラルビジネスフェアは盛況のうちに終了した。

会場内のステージでは、多くのプレゼンテーションも開催された。
1万人以上がつめかけ、会場は大盛況。

本記事はweb用の短縮版です。全編版は本誌にてお楽しみください。

記事の全文は月刊終活 7月号に掲載されています

掲載記事

終活
2024.07.04