山形県に残る葬儀の習わし! 「前火葬」「むさかり絵馬」に込められた思い【今さら聞けない終活豆知識vol.58】

       
今さら聞けない終活豆知識 終活
2026.02.18

地域によってさまざまな習わしが残る葬儀。地元の習わしは知っていても、他の地域の、しかも葬儀の風習を知る機会はそう多くないでしょう。なかでも東北地方は、気候風土を背景に独自の習わしが残る地域。今回は、今も山形県に残る特徴的な葬儀の風習を紹介していきます。

写真出典:PIXTA

山形県に残る特徴的な葬儀の習わし

葬儀の流れとしては、通夜の翌日に告別式をおこない、故人を火葬し、納骨する流れが一般的です。しかし、山形県などの東北地方では「前火葬」がほとんど。前火葬では、通夜の翌朝には故人を火葬し、告別式の祭壇に遺骨を安置する流れをとります。

前火葬が広まったのは、東北地方の気候が理由だったようです。この地域は積雪量が多く冬季の往来が簡単にできないため、訃報を聞いて駆けつけるまでに時間がかかりました。さらに昔は遺体の保存技術も未熟で、遺体の腐敗を防ぐためには前火葬とする必要があったのです。

前火葬の習慣がある地域では、葬儀時に故人の顔を見ることができません。故人の顔を見たい関係者は、事前に葬儀社に相談してみると良いでしょう。

また、自宅葬をおこなう際には、出棺時に縁側など玄関以外から棺を運び出すという習慣も。玄関以外の場所を使うことによって、「故人が現世に戻らず、迷うことなく旅立てるように」という願いが込められているそうです。

近年は、葬儀当日に初七日法要まで済ませるケースが増えてきましたが、山形では全国的には省略されがちな「三十五日(五七日)法要」まで葬儀当日におこなう場合もあります。この法要を大切にするのは、三十五日は故人の浄土行きが決まるとされるから。四十九日(七七日)の次に重要な法要とされています。

山形県の都市部以外で今も見られるのが、葬儀や法要時におこなわれる「御詠歌」の習わし。仏の教えを五七五七七の和歌形式にして曲をつけたもので、喪家(もけ)に「念仏講」と呼ばれる人々が集まり御詠歌を歌います。

さらに、交通事故や病気で結婚せずに亡くなった故人のために、最上地域では「むかさり絵馬」を奉納。来世では幸せになってほしいという願いを込め、故人と架空の結婚相手を描いた絵馬を奉納するそうです。

葬儀の習わしの背景には、受け継がれてきた故人を見送るための想いが込められています。各地域の習わしについて調べてみると、思わぬ発見があるかもしれませんね。