50~60代で挑戦する人が多いという「お遍路」の旅。知り合いから「行ってきた」という話を聞いたことがある人もいるかもしれませんね。一方で、なんとなくイメージはできても具体的な内容に関しては意外と知られていないようです。今回は、四国各地を巡る「お遍路」についての目的や持ち物、注意点などについてご紹介しましょう。

多くの先人もたどった祈りの旅
お遍路とは、弘法大師・空海が開創したとされる霊場を巡礼することです。目的は「煩悩」を消し去り願いを叶えることですが、先祖供養や家族の健康祈願、自分探しなど内容はさまざま。かつては修行僧が中心だったものの江戸時代頃から一般化し、若い世代の巡礼者も増えた現代では観光的な側面も持つようになりました。
四国全域に散らばる霊場は、各県でテーマが異なっています。徳島「発心」・高知「修行」・愛媛「菩提」・香川「涅槃」に分かれており、全部で八十八カ所。全行程は実に1460kmにもなりますから、長い道のりですね。徳島県にある「霊山寺」が第一番札所とされ、発心(決意)にはじまり涅槃(悟り)に至るまでの4段階を順になぞっていきます。
昔ながらに徒歩で巡礼をおこなう場合、1日あたり20kmが移動の目安になるでしょう。番号順に巡る「順打ち」が一般的で、かかる期間は平均して2ヶ月ほど。反対に最後の八十八番から巡礼することを「逆打ち」と呼びます。険しい道のりになるぶん、達成すると順打ち3回分のご利益があると言われていますので、体力に自信のある人はチャレンジしてみてください。
「お遍路さん」と聞くと白装束が思い浮かぶかもしれませんが、厳密には衣装の規定はありません。履き慣れた運動靴と普段着に、菅笠・金剛杖といったいでたちでも大丈夫です。もしもに備えてレインコートや救急用品の用意も忘れずに。特に歩きでのお遍路は長旅になりますから、常に自身の体調や天候を見極めて、服装と移動距離を調整しましょう。
自然豊かな四国の地を巡り、歴史ある霊場に手を合わせる「お遍路」。心静かになれる旅にひかれ、定年後に巡礼を思い立つ人も多いようです。車や自転車、ツアーの企画なども上手に利用して、無理のない範囲で計画してみてはいかがでしょうか。


