「耳掃除、毎日してはダメって本当?」耳を傷つけない正しいケアと耳鼻科受診のサイン【ちょっとカラダにイイ話vol.70】

       
ちょっとカラダにイイ話 コラム
2026.11.02

 お風呂上がりの習慣として、毎日綿棒で耳を掃除している方は少なくないかもしれません。「スッキリして気持ちいい」「エチケットとして綺麗にしておきたい」と感じるものですが、実はその習慣が、思わぬ耳のトラブルを招いている可能性があることをご存じでしょうか。

 今回は、意外と知られていない「耳あかの役割」や、耳を傷つけない正しいお手入れ方法について紹介いたします。

写真出典:PIXTA

実は「耳あか」には大事な役割がある?

 「耳あか=汚いもの、取り除かなければいけないもの」というイメージを持たれがちですが、実は私たちの耳を守るために欠かせない役割を果たしています。

 耳あかには、耳の中の皮膚を保護する「保湿効果」や、細菌の繁殖を抑える「殺菌作用」があります。さらに、ホコリや虫などの異物が耳の奥に侵入するのを防ぐフィルターのような働きもしているのです。

 また、耳の中には「自浄作用」が備わっています。食事でおしゃべりをしたり、食べ物を噛んだりして顎を動かすことで、耳あかは少しずつ自然と外側へ押し出される仕組みになっています。そのため、本来は奥の方まで無理に掃除をする必要はないのです。

綿棒での耳かきに注意! よくある耳掃除のトラブル

 綿棒や耳かきを耳の奥まで入れてゴシゴシと擦ってしまうのは、実はとても危険な行為です。

 頻繁に耳掃除をしすぎると、耳の中の薄くてデリケートな皮膚が傷つき、「外耳炎(がいじえん)」を引き起こす原因になります。傷口から細菌が入り込んで炎症が起きると、強い痛みや痒み、耳だれ(膿)が出ることもあります。痒いからとさらに耳かきをしてしまい、症状が悪化するという悪循環に陥るケースも少なくありません。

 また、綿棒を奥まで押し込むことで、手前にあった耳あかを鼓膜のすぐ手前までギュウギュウに押し固めてしまうこともあります。これが栓のように耳を塞ぐ「耳垢栓塞(じこうせんそく)」という状態になると、突然耳が聞こえにくくなってしまいます。

耳を傷つけない「正しい耳掃除」のペースと方法

 では、ご家庭での耳掃除はどのように行えばよいのでしょうか。ポイントは「やりすぎないこと」と「入り口だけを優しく拭うこと」です。

・頻度は「月に1〜2回」で十分

毎日行う必要はありません。気になったときに、月に1〜2回程度お手入れするだけで十分清潔に保てます。

・掃除をするのは「入り口から1cm」まで

綿棒やタオルを使い、耳の穴の入り口付近(手前から1cm程度まで)を優しく拭き取るようにします。奥の方まで綿棒を差し込まないように気をつけましょう。

・竹などの硬い耳かきは力を入れすぎない

硬い素材の耳かきは皮膚を傷つけやすいため、使用する際は力を抜いて、そっと撫でる程度にとどめてください

こんな症状があったら、迷わず耳鼻科へ

 ご自身やご家族の耳に以下のような症状がある場合は、無理に自宅で対処しようとせず、耳鼻科を受診してください。

・耳が詰まったような感覚(閉塞感)がある

・最近、テレビの音が大きいと言われる(聞こえにくさがある)

・耳に痛みや、強い痒みがある

・耳から汁(耳だれ)が出ている、臭いがする

 特にご高齢になると、耳の中の自浄作用が弱まったり、耳あかが乾燥して硬くなったりして、自然に外へ出にくくなることがあります。「耳あかを取るためだけに病院へ行くなんて恥ずかしい」と遠慮される方もいらっしゃいますが、耳鼻科での「耳あか除去」は立派な医療行為です。専用の器具を使って安全に綺麗にしてくれるので、数ヶ月に一度、お掃除のために通院するのもおすすめのケア方法です。

 耳掃除はリラックスタイムのひとときでもありますが、大切な聴力を守るためにも「やりすぎ厳禁」を心がけたいですね。正しいお手入れで、いつまでも健やかな耳を保っていきましょう。