高齢化が進む中、一人暮らしや夫婦だけで暮らす高齢者が増えています。そんな中で、犬や猫をはじめとするペットの存在が注目されています。ペットは単なる動物ではなく、家族の一員として暮らしに寄り添い、心と体の健康を支えてくれる大切なパートナーです。しかし「万が一、入院や死亡でペットを飼えなくなってしまったらどうしよう…。」と、本当は飼いたいけど、将来を心配して飼えないという方も少なくありません。今回は高齢者によるペットの飼育についてお伝えします。

万が一に備え託せる人や引き取りサービスを
高齢になると、退職や子どもの独立などにより、孤独を感じる機会が増えることがあります。そんなとき、ペットがいると食事の世話や散歩、健康管理などを行うことにより、自然と生活のリズムを整えてくれます。また、帰宅時に迎えてくれたり、そばで眠ってくれたりする姿は大きな癒しとなり、精神的な安心感につながります。そしてペットの様子を観察したり、名前を呼びかけたりすることは脳への刺激となり、認知機能の維持にも良い影響を与える可能性があるといわれています。
一方で、高齢者がペットを飼う際には慎重に考えるべき点もあります。近年はペットの寿命も延びており、犬や猫は10年から20年近く生きることが珍しくありません。そのため、自分自身の健康状態や将来の生活環境を見据えたうえで迎えることが大切です。万が一、入院や介護施設への入居が必要になった場合に備え、家族や親族、知人など、ペットを託せる人をあらかじめ決めておくと安心です。また、ペットホテルや一時預かりサービスなどの利用についても事前に調べておくとよいでしょう。
また、保護団体や保健所、愛護センターでは、犬や猫の譲渡にあたって年齢制限を設けており、「65歳以上には譲渡しない」もしくは「保証人を求める」とする施設が多数を占めています。しかし最近は民間の「ペット後見・終生飼養サービス」や、一部の動物愛護団体がペットの引き取サービスを提供しており、飼い主の入院や死亡などで飼育が困難になった際に、代わりに新しい里親を探すか、施設で終生飼育してくれます。有料ですが、このようなサービスを契約しておけば、おひとりさまでも安心してペットの未来を守れます。
ペット選びも重要なポイントです。大型犬や運動量の多い犬種は身体的な負担が大きくなる場合があります。高齢者には比較的小型で穏やかな性格の犬や、散歩の必要が少ない猫などが向いていることもあります。自分の体力や住環境、生活スタイルに合ったペットを選ぶことで、無理なく長く一緒に暮らすことができます。
ペットは言葉を話すことはできませんが、その存在は高齢者の暮らしに大きな温もりを与えてくれます。そしてペットにとっても、愛情を注いでくれる飼い主はかけがえのない存在です。人生100年時代といわれる今、責任を持って飼育できる環境を整えたうえでペットを迎えることは、心豊かな老後を実現する選択肢の一つといえるのではないでしょうか。

